地上職員が無断で旅客機操縦、1時間飛行の末に墜落 米シアトル
(CNN) 米ワシントン州のシアトル・タコマ国際空港で10日、航空会社の地上職員が無人の旅客機を許可なく操縦して離陸させた。同機は約1時間にわたって飛び続け、曲芸飛行などを見せた末に墜落。地上職員は死亡した。
地元捜査当局によると、ホライゾン航空で地上職に就いていた29歳の男が同日午後7時半すぎ、整備場に止まっていた76人乗りのプロペラ機に1人で乗り込んだ。
男は管制塔と交信しながら飛行を続けた。着陸態勢に誘導しようとする管制官らに対し、「心配してくれる人たちに申し訳ない」「これで終身刑になりそうだ」などと語った。テレビゲームをやったことがあるので操縦に助けはいらないとも話していた。
離陸から数分後には米軍の戦闘機2機が発進して追跡を始めた。機体は空港から約40キロ離れた人けのない島に墜落した。戦闘機から攻撃を受けたわけではなく、墜落原因は不明。現場の林で火災が起きたが、ほかにけが人はいなかった。
航空会社と空港が11日の記者会見で発表したところによると、男に犯罪の前歴はなく、3年半前から空港の制限区域に入る資格を得ていた。10日は制服を着てシフトに入っていたとみられる。操縦士免許は持っていなかったとされる。
米連邦捜査局は「テロではない」との見方を示しつつ、刑事事件として捜査している。捜査員らは11日、飛行記録装置や操縦室の音声記録装置などを回収するため現場へ出動した。