米、産業スパイ容疑で中国情報要員を起訴 身柄引き渡しは初
(CNN) 米司法省は11日までに、米国に身柄が引き渡された中国の情報機関員を産業スパイ容疑で起訴したと発表した。こうした身柄引き渡しが行われたのは初めて。
訴状によると、起訴されたのはヤンジュン・シュ被告で、産業スパイ行為や企業秘密の窃取などを企てた疑いが持たれている。司法省の当局者は、中国国家安全省の工作員が逮捕されて米国に身柄を引き渡されるのは初めてだと指摘した。
連邦捜査局(FBI)防諜(ぼうちょう)部門の幹部は声明で、身柄引き渡しにより「中国政府が米国に対する産業スパイ行為を直接監督していることが浮き彫りになる」としている。
シュ被告を含む中国国家安全省の当局者は2013年から、米オハイオ州シンシナティを拠点とするGEアビエーションなど少なくとも3社の航空専門家を選び、大学での講演という名目で中国に招待していたとされる。
しかし実際には、こうした講演は中国政府の利益のみを目的に行われており、企業の設計・製造技術についての高度に技術的な議論も展開されていた。国家安全省側は、引き出そうとする情報の性質を偽り、専門家の渡航費や宿泊費などを負担していたという。
オハイオ州連邦地検のベン・グラスマン検事は「シュ被告と同僚は実質的に、専門家に働きかけて企業秘密を明かさせようとしていた」と述べた。
グラスマン氏によれば、シュ被告は10日午後、シンシナティの連邦地裁に出廷した。被告は4月にベルギーで逮捕され、今月9日に米国に身柄が引き渡されていた。最大で禁錮25年を言い渡される可能性がある。