米NASA、歴史的遺産が散逸 管理・保管に不備
(CNN) 米航空宇宙局(NASA)が所蔵しているはずの宇宙探索の歴史を反映した遺産の数々が、記録や管理の不備から、所在がわからなくなっていたり、売却されていたりしていることが1日までにわかった。NASAの監査機関が明らかにした。
監査官によれば、歴史歴な遺産の管理や確認について、NASAが適切な手順を踏んでいないことが最近判明したという。
こうしたことから、アポロ11号で月面のちり粒子を収めた収集用のバッグの行方がわからなくなったり、月面車の試作品が処理業者に売却されたりしたという。
NASAは監査機関に対して、2020年5月までに、歴史的な品々について対処するためのより良い手続きを構築すると回答している。
月面車についてはアラバマ州の住宅地で、米空軍の歴史家によって発見された。政府から連絡を受けた際、所有者は月面車をNASAに返却することに関心を示したという。監査機関によれば、NASAの対応を4カ月待った後、所有者は月面車を金属処理業者に売却。その後、NASAが購入を申し出たところ、業者はそれを拒否して競売にかけて売ってしまったという。金額は明らかになっていない。
月面のちり粒子を収集したバッグについては犯罪捜査の過程で見つかっていた。NASAは2015年、バッグの購入者から本物であるかどうかの確認依頼を受けた際に、バッグについて知った。NASAは所有権を主張したものの、その主張は裁判所によって退けられ、その後、匿名の個人が競売で売却していた。
スペースシャトル計画が縮小されるなか、歴史的遺物に対するNASAの管理手順は改善されたという。しかし、マーキュリー計画やジェミニ計画、アポロ計画といった1960年代から70年代にさかのぼる時代の品々については行方不明なままのものも多い。
こうした時代の品々は、ネットオークションなどに登場することがあるが、NASAが自由に、こうした財産を贈り物として宇宙飛行士や職員、契約業者などに与えていたためだという。