トランプ氏が「取引」提案、壁建設と引き換えに不法移民を保護
(CNN) トランプ米大統領は19日午後、ホワイトハウスからのテレビ演説で、政府閉鎖の解除に向けて新たな提案を示した。メキシコ国境に壁を建設する予算と引き換えに、不法入国の若者らを一時的に保護する案などが盛り込まれている。
トランプ政権は2017年、幼少時に親に連れられて米国へ不法入国した若者の強制送還を免除する措置「DACA(ダカ)」の撤廃方針を表明し、野党・民主党の強い反発を招いていた。
19日の提案は、民主党が壁の建設予算57億ドル(約6300億円)を受け入れればDACAを3年間延長するとの内容。さらに、特定の国からの不法移民に一時的な滞在を認めてきた「TPS」の制度も延長する。これに加えて緊急人道支援に8億ドル、国境での薬物検知技術に8億500万ドルの予算を計上し、国境警備要員や移民担当判事を増員するとした。
国境の壁自体についても「端から端までコンクリートで建てるわけではない。優先的な区間に鉄のフェンスを設ける」と述べた。
壁建設予算をめぐる政府閉鎖が過去最長の記録を更新し続け、世論調査で「閉鎖はトランプ氏の責任」との声が過半数を占めるなか、閉鎖解除に向けた交渉姿勢を印象付ける狙いがあるとみられる。
一方、民主党のペロシ下院議長はトランプ氏の演説に先立って声明を発表し、同氏の提案は「過去に却下された案の寄せ集め」だと批判。DACAやTPS対象者の恒久的な救済策が含まれていないと指摘し、提案が通る見込みはないと断じた。
同党のシューマー上院院内総務も、トランプ氏が一方的にDACAやTPSの撤廃を決めておきながら、壁と引き換えに延長を申し出るのは「譲歩ではなく、さらなる人質作戦だ」と非難した。