火葬場や作業員から放射線、放射線治療受けた患者を火葬 米アリゾナ州
(CNN) 米アリゾナ州にある火葬場で、焼却炉や真空フィルター、遺骨粉砕装置などから放射線が検出された。この火葬場では、生前に放射線治療を受けていたがん患者が火葬されていたことが判明。さらに悪いことに、火葬場の作業員の尿検査では、この患者とは無関係の放射性化合物が検出された。
この症例報告は、米アリゾナ州フェニックスにあるメイヨークリニック病院の研究チームが26日の米医学誌JAMAに発表した。
放射性化合物は、例えばPET検査やがんの治療といった診断や治療のために使われる。
症例報告によると、69歳の男性は膵臓腫瘍と診断され、2017年にアリゾナ州の病院で放射線治療を受けたが、数日後に死亡して、治療から5日後に火葬された。
治療から1カ月後、この病院の放射線部門がガイガーカウンターを使って男性が火葬された施設を調べ、作業員の尿検査も行った。
遺体の体内の放射性医薬品は焼却によって揮発し、火葬場の作業員が吸い込んだり、近隣に放出されたりすることがある。
ガイガーカウンターを使った検査では、患者に投与された医薬品に含まれるアイソトープなど、さまざまな放射線が検出された。
さらに、男性作業員1人の尿からは、この患者に使われたものとは違うアイソトープが検出された。この作業員が放射性医薬品を使う治療や検査を受けたことはなく、研究チームでは、別の遺体を焼却する作業の間に放射性物質を吸い込んだとみている。
米国では遺体の半数あまりが火葬されている。研究チームでは、火葬場の放射能汚染の実態や、作業員の健康被害について、さらなる調査が必要だと指摘している。