米国防総省、「国境の壁」建設へ3800億円を転用 与野党から批判の声
ワシントン(CNN) 米国防総省がドナルド・トランプ米大統領の進めるメキシコとの国境沿いでの壁の建設に向けて36億ドル(約3800億円)の予算を転用すると明らかにしたことで、与野党から批判の声が出ている。
国内的にみると、23の州と3カ所の米領のプロジェクトから約18億ドルが転用される。加えて、国防総省は海外の軍事関連の建設計画18億ドル超について、メキシコとの南部国境の11のプロジェクトに振り分ける。全体として国内外の127のプロジェクトが保留となる。トランプ大統領は当初、壁の建設費用はメキシコが支払うと約束していた。
影響を受けるのは、危険な廃棄物を貯蔵するために使われる施設や、海軍の船の修理用施設など。これらの施設は修理や増設の必要があると認められていた。
予算の転用によって米領プエルトリコも大きな打撃を受けそうだ。4億ドル超の軍事関連の建設計画の予算が壁の建設に振り分けられる見通し。
欧州では7億7100万ドルのプロジェクトが影響を受ける見通し。こうしたプロジェクトには飛行場の改修なども含まれ、ロシアの脅威に対する同盟諸国の防衛力向上を意図したものとなっている。
国防当局幹部は「全てのこうしたプロジェクトは我々にとって重要だ。しかし、対応するよう命じられた南西部国境における緊急事態にも対処する必要がある」と述べた。
予算の転用については、与野党から批判の声が出ている。
共和党でユタ州選出のミット・ロムニー上院議員とマイク・リー上院議員は連名で、空軍基地のための建設費が転用されることに懸念を表明した。
民主党でバージニア州選出のティム・ケーン上院議員とマーク・ウォーナー上院議員は、国防総省から4つの軍関連の建設計画の予算7700万ドル超について、壁の建設に転用されると知らされたと明らかにした。ウォーナー議員は声明で、バージニア州での重要なプロジェクトを支援する資金などを減らすことは、国内外の脅威に対処するための備えが減ることになると指摘した。