新型コロナによる「絶望死」リスク、米国で最大7.5万人か
(CNN) 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)の影響で多くの米国人が絶望的な状態に陥り、最大7万5000人が自殺やドラッグの過剰摂取などで命を落とす恐れがある――。米財団ウェルビーイングトラストがそのような分析を発表した。
具体的には、感染拡大に伴う雇用危機の高まりや景気の低迷、人との接触機会を失くし終息の明確な時期も見通せない中でのストレスといった要因から、いわゆる「絶望死」が著しく増加する可能性がある。市町村や州、連邦政府の各レベルで高度なメンタルヘルスの支援対策に乗り出さない限り、こうした事態は避けられないという。
ウェルビーイングトラストの最高戦略責任者(CSO)を務めるベンジャミン・ミラー氏は、当該の死者数についてあくまでも予測だと強調しつつ、直ちに対策をとる必要があるとの認識を示唆した。
同財団は、各当局者や政府機関が手堅い取り組みを行い、パンデミックで仕事を失った人たちのために新たな職を確保するべきだと提言。1929年に始まった大恐慌の時代には、失業率に関連して自殺や薬物中毒死が増加していたと指摘した。
リーマン・ショックに端を発する2008年からの景気低迷でも、自殺と薬物中毒死は失業率の推移とともに増加したという。07年に4.6%だった失業率は、09年10月にピークの10%を記録した後、減少傾向に入った。
8日に発表された今年4月の失業率は14.7%と、月ごとの集計を取り始めた1948年以来、最悪の水準となっている。
こうした状況に対してウェルビーイングトラストは、感染経路の追跡など医療分野の新たな業務を通じて再雇用の機会を創出できるかもしれないと分析。「業務を担うことは疎外感や絶望感への強力な予防策になりうる」とした。
前出のミラー氏は、必要とする人が医療やメンタルヘルスのサービスを確実に受けられるようにするための制度変更も不可欠だと訴える。コロナ禍以前に機能していなかったサービスの仕組みを検証し、従来の基準の見直しや新たなテクノロジーの導入などを進めながら、だれもが利用可能な一貫したシステムを作り上げるよう呼び掛けた。