トランプ氏は大統領選で「大敗」、経済中心の選挙モデルで予測
ニューヨーク(CNN Business) 新型コロナウイルスの感染拡大に伴うリセッション(景気後退)を受けて、トランプ米大統領は今年11月の大統領選で「歴史的な敗北」を喫する――。20日に公表された選挙モデルがそのような予測を示した。
新型コロナが猛威を振るう米国では失業率が史上最高水準にまで上昇。個人消費は激減し、国内総生産(GDP)の壊滅的な縮小を引き起こしている。過去の歴史を振り返ると、経済がこれほど低迷した状態で再選に挑んだ大統領には悲惨な結果が待ち受けているのが常だった。
オックスフォード・エコノミクスがまとめた今回のモデルは失業率、可処分所得、インフレ率をもとに大統領選の結果を予測したもの。それによるとトランプ氏は惨敗する見通しで、一般投票での得票率はわずか35%にとどまるという。実現すれば、現職の大統領の得票率としては過去1世紀の間で最悪となる。
新型コロナ危機の前に同様のモデルで行った予測では、トランプ氏は55%の得票率で再選を果たすとみられていた。オックスフォード・エコノミクスは報告の中で、現行の厳しい経済状況が「トランプ氏にとってほとんど乗り越えられないほどの障壁になる」との見方を示す。
1948年以降、上記のモデルによる予測と異なる投票結果が出た大統領選は1968年と1976年の2回しかない。2000年のジョージ・W・ブッシュ氏と2016年のトランプ氏は得票率で対立候補を下回りながらも獲得した選挙人の数によって当選を果たした。
モデルは秋を迎えても景気の低迷が続くと予想。失業率は13%を上回り、1人当たりの実質所得は前年比で6%近く落ち込むとみられる。短期的なデフレにも見舞われるという。
とはいえ、ウイルスのパンデミック(世界的大流行)の時期に選挙の予測を行った例は過去になく、今回のモデルがそのまま大統領選の結果を言い当てるものになるかどうかは不透明だ。AGFインベストメンツで米国政策担当チーフストラテジストを務めるグレッグ・バリエール氏は「従来のモデルが機能するのは平時においてだ。しかし今は平時とは言えない」と指摘する。
同氏は仮に今日選挙が行われるなら野党・民主党 からの指名獲得を確実にしたバイデン前副大統領がおそらく勝つだろうとしながらも、実際の投票日である11月までの期間にトランプ氏は態勢を立て直すと分析。与えられた時間を使ってバイデン氏との論戦に臨む一方、中国に対してもパンデミックの責任を追及するはずだと述べた。
オックスフォード・エコノミクスも今回のモデルについては、政策や人望といった経済以外の要素を排除しているため「もともと限界がある」ことを認めている。