対人距離の確保、数千万人の感染者発生を防止か 米研究
(CNN) 米医学誌「ヘルス・アフェアーズ」は21日までに、新型コロナウイルス予防策である対人距離の確保の推進で米国内で数千万人規模の感染者の発生を防いだ可能性があるとする新たな研究報告書を掲載した。
米政府が打ち出した対人距離の確保の指示でウイルスの1日当たりの伝染率を約3週間内に約9%少なくさせたとも分析した。人と人との間に一定の物理的距離を取る措置を一切講じなかった場合、米国内の感染者数は35倍の水準に達していた可能性があるともした。
研究報告書はケンタッキー大学、ルイビル大学やジョージア州立大学の研究者らが作成。対人距離の確保に関する多数の措置を進める郡とそうでない郡の感染者数を比較しこの措置の効果を推定した。
自宅待機、レストランやバーなどを閉鎖させる手段は感染率を緩やかにするのに特に効果があったとみられるとも指摘。一方で大規模行事の禁止や公立学校の閉校だけでは感染率に影響がなかっただろうとも推測した。
今回の研究結果は、社会的活動を他の舞台へ向き直すことを防ぐ対策を排除する一方で、学校閉校や大規模な集まりを抑えるなどの部分的な対応策に戻ることは有効でないことを示しているとも説明した。
その上で今回の研究の有効性には限界があるとも釘を刺した。その例として、公式な感染者数の集計には医師の診断を受けるほど病状が深くない住民らが含まれていない可能性があり、結果的に人数が過小評価に陥っていることも考えられるとした。