トランプ氏、領空開放条約からの離脱表明 ロシアの不順守理由に
ワシントン(CNN) トランプ米大統領は21日、軍事的な不測の事態に陥るリスクの低減を目的とする領空開放(オープンスカイズ)条約から離脱すると表明した。ロシアの不順守を受けて離脱の決定を下したとしている。
トランプ氏はホワイトハウスで記者団に、「ロシアが条約を順守しなかったため、彼らが順守するまで離脱する」と説明した。
米国が離脱した場合、ロシア政府は再び交渉の席に着かざるを得なくなるだろうとの見通しを示し、「新たな合意を結んだり、現行の合意を復活させたりするチャンスはある」としている。
トランプ氏はまた、離脱によりロシアとの緊張が増す可能性を否定。「ロシアとは今後も非常に良好な関係が続く」と強調した。
領空開放条約は1992年に署名されたもので、軍事力や軍事活動に関するデータを収集するため、加盟国が他国上空で非武装の偵察飛行を行うことを認める内容。トランプ政権はまたしても主要な軍縮条約から離脱することになる。
国防総省のホフマン報道官は、トランプ政権は条約上の義務を順守しているとする一方、「全当事国の利益になり、責任をもって義務を順守するパートナーが参加する合意を支持する」と述べた。
領空開放条約は幅広い軍縮協定の一環で、欧州大陸における安定性と予測可能性を担保すること、透明性の確保により、紛争に発展しかねない不測の事態のリスクを減らすことを目的としている。
離脱の報道を受け、国家安全保障関係の元当局者らは失望を表明。米国の指導力低下を招き、ロシアを勝利させ、米国と世界の安全保障を損なう結果になると危機感を示した。