米陸軍、南軍司令官にちなむ基地名の変更を検討 国防長官と協議
(CNN) 米陸軍のマッカーシー長官と米国防総省のエスパー長官が「党派を超えた対話」を行い、軍が運営する十数カ所の主要な基地や施設について名称の変更を検討する方針であることが9日までに分かった。南北戦争時に奴隷制度を擁護した南軍の司令官の名を関した基地などが対象になるという。陸軍当局者が明らかにした。
この当局者は、マッカーシー長官が基地の名称変更の権限を自らに帰するものと認識しているとしながらも、実際の変更に当たってはホワイトハウスや連邦議会、州政府などとの協議が必要になるとの見方を示した。
陸軍は8日の声明で、マッカーシー氏とエスパー国防長官がこの問題について話し合いを持つ見通しだと確認した。ただ、どの陸軍基地の場合も、その名称に使用された軍人は「我が国の軍事史において重要な地位を占めている」と付け加えた。
そのうえで「したがって、それらの歴史ある名称が象徴するのはあくまでも個々の人物であって、特定の主義やイデオロギーを標ぼうするものではない」と説明した。
南軍の指導者の名を関した陸軍の施設にはノースカロライナ州のフォートブラッグや、テキサス州のフォートフッド、バージニア州のフォートAPヒルなどがある。
米国ではミネソタ州ミネアポリス市で黒人男性ジョージ・フロイドさんが警官に殺害された事件を受け、全国規模の抗議デモが継続している。デモ参加者は、長年にわたる警察による黒人への暴力について、制度化された人種差別主義が法執行機関に存在する結果だと訴える。
こうした状況の中、バージニア州のノーサム知事は先ごろ、州都リッチモンドに立つ南軍司令官のリー将軍の像を撤去することを発表した。
5日には米海兵隊が、関連施設から南北戦争時の南部連合国旗の表示をすべて撤去するよう指令を下したと明らかにしている。