トランプ大統領、ICC当局者への制裁承認 戦争犯罪捜査に反発
ワシントン(CNN) トランプ米大統領は11日、国際刑事裁判所(ICC)の当局者に対する制裁や追加の査証(ビザ)制限を承認する大統領令に署名した。ICCが米兵や情報当局者の戦争犯罪容疑を捜査するのを防ぐため、改めて強硬な措置に出た形だ。
これに対し、国際刑事裁判所は「ICCに対する新たな前例のない攻撃」と反発。「事態を悪化させるものであり、法の支配とICCの司法手続きに介入しようとする受け入れられない試みだ」と述べた。
新たな大統領令によると、制裁対象となるのは、「米国の同意なしにICCによる米国民への捜査、逮捕、拘束または訴追に直接関与した全ての個人」。米同盟国の同意なしに当該国の国民に同様の措置を取った場合も制裁対象になるという。
ICCは数カ月前、米軍やアフガニスタン軍がアフガン国内で戦争犯罪を行った疑いや、反政府勢力タリバーンが戦争犯罪や人道に対する罪に及んだ疑いを捜査することを承認していた。
またICCのベンソーダ主任検察官は、パレスチナ人に対するイスラエルの戦争犯罪容疑を捜査する方針も示しており、ポンペオ米国務長官は「深い懸念」を示している。
ICC当局者に対する制裁を認める今回の決定に、国際機構の関係者や人権団体からは懸念の声が上がった。
トランプ政権は長年、米国はICCの加盟国ではないとして、同裁判所の権限を拒絶。昨年にはベンソーダ氏の入国ビザをはく奪するなど、捜査を阻止するための措置をすでに取っていた。
ホワイトハウスのマクナニー報道官は声明で、「ICCの行動は米国民の権利に対する攻撃であり、我が国の主権を侵害する恐れがある」「米国はICCの不当な訴追から国民や同盟国を守るため、引き続きあらゆる必要な手段を駆使する」としている。