CDC所長、「米国は新型コロナに屈服」 半分の州で感染者急増
(CNN) 米疾病対策センター(CDC)のロバート・レッドフィールド所長は23日、新型コロナウイルスが「この国を屈服させた」との見方を示した。
議会下院のエネルギーおよび商業対策委員会の公聴会で述べた。同所長はまた「たった1つの小さなウイルスのために」、米国は約7兆ドル(約746兆円)を支出しなくてはならなくなるだろうとも予測。「誰もが最善を尽くしてウイルスと闘っている」と強調した。
レッドフィールド氏の発言は、全米の半分の州で新たな感染者が急増する状況下でのもの。保健当局者はこの現象について、単に検査の件数を増やしたことによるものではないとの認識を示す。
加えてCDCの所長代行を務めた経歴を持つリチャード・ベッサー博士は23日、CNNの取材に答え、実際のところ自宅待機命令の出ている段階から移行し、「検査、追跡、隔離を行う公衆衛生モデル」を確立できた州は一つもないと指摘。「どうすればそうした移行が首尾よく実現できるのかを見極める必要がある。さもないと社会活動を再開したすべての州で、かなり劇的な感染者の増加が起こるだろう。ここまで感染を非常によく抑え込んだ州であっても例外ではない」「そうなれば元の木阿弥(もくあみ)だ」と語った。
一方、米国立アレルギー感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長は23日の公聴会で、対策の目的はあくまでもウイルスの完全な抑え込みであり、感染の勢いを和らげることではないと強調。現状で行われているのは後者だとの見方を示した。
そのうえで、もし米国が秋までに新型コロナウイルスの感染拡大を封じ込めることができなければ、「事実上、山火事を消して回るような事態になる」と警鐘を鳴らした。
米ジョンズ・ホプキンス大学がまとめたデータによれば、米国内でのこれまでの新型コロナウイルス感染者は230万人以上。約12万1000人が死亡している。