民主党全国大会閉幕、「団結こそ使命」とバイデン氏
(CNN) 4日間の日程で行われた米民主党の全国大会は20日、最終日を迎え、同党の大統領候補の正式指名を受けたバイデン前副大統領が指名受諾演説を行った。バイデン氏にとって政治家人生で待ち望んでいた演説は、これまでの波乱万丈の道のりにも言及する内容となった。
演説の中でバイデン氏はトランプ大統領を名指しせず、ただ「現大統領」とだけ呼んだ。それでも冒頭からトランプ氏を見込みのない人物と批判。自分のことしか頭になく、憎悪を燃え立たせることで自らの政治的目標を果たしたがっていると断じた。
そのうえで「私が頼みとするのは米国民の最良の部分であって、最悪の部分ではない。私は光と手を携えていく。闇とではない」と語った。
バイデン氏はさらに、トランプ氏の新型コロナウイルス対策や外交政策を酷評。経済格差が深刻化する中で雇用も崩壊しつつあると指摘する一方、国や他者に対する愛情の下で団結しようと呼びかけた。
「なぜなら愛は憎悪よりも強いからだ。希望は恐怖よりも強く、光は闇よりも強い」「これ(団結)こそが、我々の使命だ」(バイデン氏)
民主党の正副大統領候補の名が書かれたボードを車のフロントガラスに立てかけ、米国旗を振る女性ら/Carolyn Kaster/AP
大統領選に出馬した動機について、バイデン氏はかねて2017年にバージニア州シャーロッツビルで起きた白人至上主義者と反対派の衝突を引き合いに出していた。当時トランプ氏は衝突について、「非常にすばらしい人たちが、どちらの側にもいる」と述べていた。
バイデン氏は、この言葉を聞いた瞬間に出馬しなければならないことを悟ったと説明。「父から沈黙は共犯を意味すると教えられた。だから声を上げず共犯者になるわけにはいかなかった」と振り返った。
バイデン氏はまた、今年5月に警官に取り押さえられて死亡した黒人男性のジョージ・フロイドさんや、公民権運動の象徴的存在で7月に死去したジョン・ルイス下院議員にも言及。米国に根付いた構造的な人種差別主義と闘う決意を改めて示した。
会場の巨大スクリーンにバイデン氏の息子、故ボー・バイデン氏の映像が映し出される/Carolyn Kaster/AP
大会では2015年に脳腫瘍(しゅよう)で死去したバイデン氏の息子、ボー・バイデン氏をたたえる一幕もあった。バイデン氏の娘のアシュリー氏と息子のハンター氏が父親を紹介する際、過去の大会でボー氏が登場したときの映像が流れた。
デラウェア州司法長官を務めたボー氏については、退役軍人でイリノイ州選出の上院議員タミー・ダックワース氏やインディアナ州サウスベンド前市長のピート・ブダジェッジ氏ら多くの登壇者が言及。ボー氏の思い出に寄せて父親のバイデン氏への敬意を表明した。