米政府、ICC検察官らの制裁発表 米軍に対する捜査の阻止狙い
ワシントン(CNN) 米国務省のポンペオ長官は2日、国際刑事裁判所(ICC)の主任検察官など2人に対する制裁を発表した。米軍と米情報機関による戦争犯罪の可能性に関するICCの捜査を阻もうと、トランプ政権がこれまでで最も攻撃的な動きに出た形だ。
制裁の対象となるのは、ICCのファトゥ・ベンソーダ主任検察官と、司法管轄部門トップのファキソ・モチョチョコ氏。さらに、米国の人員に対するICCの捜査にかかわった特定の人物についても、ビザ(査証)の発給を制限するとした。
これに対し、ICCや人権団体、ICCが置かれているオランダの外相は、即座に米国の制裁を非難した。
ICCは声明の中で、「国際司法機関とその職員に対して向けられた今回のような強権的行為は前代未聞であり、国際刑事裁判所ローマ規程、および一般的な法の支配に対する重大な攻撃に該当する」と指摘している。
トランプ大統領は今年6月、米国人に対する捜査や訴追にかかわったICC関係者を対象とする制裁やビザ制限を承認していた。
その数カ月前にICCは、アフガニスタンで米軍とアフガン軍が犯したとされる戦争犯罪と、反政府武装組織タリバーンが犯したとされる人道に対する罪に関する捜査を承認していた。ベンソーダ主任検察官は、イスラエルのパレスチナに対する犯罪の可能性についても捜査を求めていた。