脱線ばかりの第1回大統領討論会、6つのポイント

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互いに議論がかみ合わない中で、両者の本質的な差異は見えにくかった/Sarah Silbiger/Getty Images

互いに議論がかみ合わない中で、両者の本質的な差異は見えにくかった/Sarah Silbiger/Getty Images

コロナウイルス以外の話題に

トランプ陣営に選挙終盤で最重要の戦略があるとしたら、それはコロナウイルスの流行から注意をそらすことだ。有権者は世論調査でトランプ氏の対応は悪かったとの評価を示している。トランプ氏が過去数カ月、この話題から別の話題に移ろうとしていることは明らかだ。

もしトランプ政権下のコロナウイルスに関する記録を曖昧にするのが同氏の目標だったとしたら、成功したと言えるかもしれない。バイデン氏は議論を元に戻そうとしたが、議論は言い争いのレベルに落ち、世界で100万人の死者を出した世界的な大流行を中心議題に据えられなかった。

トランプ氏はワクチンのプロセスは政治的だと述べ、マスクを着用するバイデン氏を笑い、自身の政権下で記録した数値を擁護した。バイデン氏がもし大統領だったらもっと悪い状況だっただろうとの主張も展開した。

コロナウイルス流行に対応した聴衆の少なさや候補者間の握手の回避は、討論会の会場に独特の雰囲気を与えた。そしてバイデン氏は米国人の死者が20万人に達していると何度も言及した。

だが、結局流行に関する議論は深まらず、トランプ氏の好戦的な姿勢が示されただけだった。トランプ氏はそれがいいことだと考えている。

連邦最高裁を議論

今、連邦議会の議論の中心にあるのは、トランプ氏が亡くなったルース・ベイダー・ギンズバーグ連邦最高裁判事の後継に保守派のエイミー・バレット連邦高裁判事を指名したことだ。

討論会はこの議題から始まったが、トランプ氏がバイデン氏の回答を遮り、ウォレス氏が統制を取ろうと苦慮する中で、細かな議論は混乱の中に消えていった。討論会は最初から秩序が乱れていた。

バイデン氏は議論を医療保険改革へと広げ、バレット氏が後継となれば多数の保守派が6対3でオバマケアを覆し、既往症のある人々への保護も失われるだろうと主張した。また全国的に人工妊娠中絶を合法化した1973年の判例も変更するだろうと予想した。

トランプ氏はフィリバスター(長い演説などによる議事妨害)の中止や最高裁の拡充を求める進歩主義の議員の提案にバイデン氏を関連付けようとして、「なぜその質問に答えないのだ」と迫った。

トランプ氏がバイデン氏をたびたび遮り、司会者と2人の候補者が言い合う状況では、トランプ氏とバイデン氏の本質的な差異は見えにくかった。

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