米議事堂乱入で民主党議員がトランプ氏提訴、極右組織との共謀主張
(CNN) 米連邦議会下院国土安全保障委員会の議長を務める民主党のベニー・トンプソン下院議員は16日、トランプ前大統領とジュリアーニ弁護士を連邦裁判所に提訴した。両氏が極右組織「プラウド・ボーイズ」などと共謀して先月6日に発生した連邦議会議事堂への乱入を扇動したとしている。
議事堂襲撃に関連してトランプ氏に対する訴えが起こされるのは初めて。数日前に上院で開かれた弾劾(だんがい)裁判ではトランプ氏を無罪とする評決が出ていた。
ミシシッピ州選出のトンプソン議員による今回の訴訟が進めば、トランプ氏らは証拠開示手続きや宣誓証言の対象になる見通し。その場合、弾劾裁判では公開されなかった事件の詳細や証拠が明らかになる可能性もある。
トンプソン氏はトランプ氏による一連の言動やツイッターへの投稿に着目。事件が起きる数カ月前からトランプ氏とジュリアーニ氏は支持者らに動員をかけ、議事堂襲撃を準備していたと糾弾した。議事堂では当時、2020年の大統領選の結果を承認する作業が行われていた。
訴状では、めったに適用されないある連邦法に言及。南北戦争後に成立したこの法律は、白人至上主義団体「クー・クラックス・ クラン(KKK)」の暴力に対抗する目的で制定されたもので、「力や威嚇、脅迫」を用いて他者の職務の継続を妨げる人々への民事訴訟を認めている。
全米黒人地位向上協会(NAACP)はこの訴訟を支持しており、裁判でもトンプソン氏を支援する予定。
訴状はプラウド・ボーイズなどの極右組織がそれぞれのリーダーの下で連携し、議事堂襲撃の先陣を切ったと指摘。「一方で、トランプ、ジュリアーニ両被告が扇動した怒れる暴徒も議事堂に向かった。綿密に練り上げられた一連の出来事は、『米国を救え』と銘打たれた集会で展開したものであり、議事堂乱入は事故や偶然の産物ではない。それは意図的かつあらかじめ計算された組織的な活動で、議事堂での法律上の手続きに介入するのが目的だ。選挙人団による票の集計を確定するにはその手続きが必要だった」と述べた。
トランプ氏の広報担当者は声明を出し、同氏はすでに弾劾裁判で無罪になったと指摘。1月6日に起きた議事堂でのいかなる暴力に関しても扇動あるいは扇動の共謀はなかったと主張した。
ジュリアーニ氏にコメントを求めたが、現時点で返答はない。
情報筋がCNNに伝えたところによれば、民主党のペロシ下院議長は今回の訴訟についてすでに説明を受けているという。