米NY知事に追及の声、高齢者施設の死者数めぐる疑惑で
(CNN) 米ニューヨーク州のクオモ知事に対し、州内の高齢者施設で新型コロナウイルスに感染して死亡した入居者らの人数を実際よりはるかに少なく集計していたなどとして、追及する声が高まっている。
同州のジェームズ司法長官が先月末、高齢者施設でのコロナ対応を厳しく批判する報告書を発表。この中で、州保健当局の集計では高齢者施設の死者数が実際の約50%とされていたことを指摘した。
施設の入居者が病院へ搬送されたケースを、施設ではなく病院での死者として数えていたためだ。
同州では高齢者施設で大規模な感染拡大が起きた。その背景には、感染した入居者を病院に置かず、施設へ戻して療養させるとしていた州の方針があった。
この方針は2カ月ほどで変更され、クオモ氏は連邦当局の指針に基づく判断だったと説明してきた。だが当時、結果として施設での感染爆発を招き、多くの入居者の死亡につながった可能性が指摘されている。
連邦政府の司法省とニューヨーク州議会は昨年、州当局に対して、高齢者施設での感染の実態に関するデータの開示を求めた。しかしクオモ氏の側近によれば、同氏らはデータがトランプ前政権からの政治的な攻撃材料にされることを懸念して、開示を遅らせたとされる。
これに対して民主、共和両党から、クオモ氏の説明責任を問う声が高まった。
この問題をめぐっては司法省や州監察当局、州議会がそれぞれ追及の動きをみせていることから、今後の展開とクオモ氏の対応が注目される。