(CNN) ホワイトハウスは8日、バイデン大統領が就任後初となるプライムタイムの演説を11日に行うと発表した。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が米国社会を事実上停止させてから1年が経過することを念頭に置いた内容になるという。
結構なことだ。国民は自分たちの大統領が現時点で何を語るのかを聞く必要がある。感染者数が減少しているとはいえ、新たな感染拡大への懸念は依然として消えず、州によってはマスク着用の義務化も緩和されている。
一方で結構な状態からほど遠いのは、ホワイトハウスがいまだにバイデン氏による単独での記者会見の予定日を本人のカレンダーに書き込んでくれないことだ。この点で同氏は、近年類を見ない大統領になっている。もちろんいい意味ではない。
CNNのケビン・リプタック記者は、今月初めにこう書いた。
「いつバイデン大統領が初の単独記者会見を開くのかについて、発表を待つ間に調べてみた。過去100年のデータを分析したところ、同氏は直近の前任者15人に後れを取っている。彼らは全員、単独記者会見を就任から33日以内に行った」
直近の前任者15人とは、なかなかの数だ。
この批判に対するホワイトハウスの返答は2点ある。バイデン氏は記者団の質問を非公式の場で受けているというのが1つ。そして、現在はとにかく新型コロナ対策に集中しているというのが2つ目だ。
それはわかっている。また、そもそも記者会見というのは単に開けばいいというものでもない。トランプ前大統領のメディアでの発言回数は現代のどの大統領をも上回っているが、その内容が虚偽であることがあまりに多く、今となってはもっと会見の数が少ない方が国のためになったのではないかという議論がたやすく成立してしまうほどだ。
ただそうした説明はさておいても、バイデン氏がホワイトハウスの記者団からの質問に長めの単独記者会見で答えるべき時期はとうに来ている。なぜか? それはバイデン政権発足後の6週間に起きたことを考えればわかる。
バイデン氏は就任後、50を超える大統領令に署名した。その内容は移民問題からパリ協定への復帰までありとあらゆる領域に及ぶ。1兆9000億ドル(約200兆円)規模の新型コロナ救済法案にも、今週中に署名するかもしれない。極めて巨額の財政出動だ。
最初の6週間に記者会見をほとんど回避する中で、バイデン氏とその政権はいくつもの「大きな」ことを成し遂げてきた。大統領の権限と、民主党が過半数を握る議会の決定権を駆使して。
重要な点はここだ。これらの決定はバイデン氏の任期のみならず、米国の今後の数年間を左右するものになる。だからこそ同氏は、自らの考えを記者団と国民に説明する必要性を認識すべきなのである。
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本稿はCNNのクリス・シリザ編集主幹による分析記事です。