アルツハイマー病の新薬、米FDAが承認 諮問委は「証拠不十分」
(CNN) 米食品医薬品局(FDA)は7日、初期段階のアルツハイマー病に使われる実験的新薬「アデュカヌマブ(別名アデュヘルム)」の使用を承認した。同薬についてはFDAの諮問委員会が昨年、治療効果を裏付ける証拠が不十分だと結論付けていた。
アデュカヌマブは重度の認知症ではなく、軽度の認知障害をもつ患者向けに開発された。症状を和らげるだけでなく、アルツハイマー病の進行を遅らせることを目指している。
FDAがアルツハイマー病の新薬を承認するのは2003年以来。
アデュカヌマブは、効果に関してさらなる研究が必要な段階でも、重大な疾患や命を脅かす疾患については承認を早める「迅速承認」の制度を使って承認された。
FDA医薬品評価研究センターのパトリツィア・カバゾーニ所長は、アデュカヌマブを承認すべきかどうかについては相当の論議があったとした上で、「アルツハイマー病の患者にとって、アデュヘルムにはリスクを上回る効果があると判断した」と迅速承認の理由を説明した。
迅速承認制度では、「承認後研究」と呼ばれるフェーズ4の臨床試験を実施して、臨床効果を検証することが医薬品会社に対して義務付けられている。もし効果が確認されなかった場合、FDAがその薬品を市場から締め出すこともある。
FDAの末梢(まっしょう)・中枢神経系薬物諮問委員会は昨年11月、アデュカヌマブの効果に関する複数の疑問について判断を求められた。初期のアルツハイマー病に対するアデュカヌマブの治療効果については、1つの有望な研究結果を治療効果を裏付ける主な証拠とみなすことの合理性を問う投票を行った結果、合理性を認めた票は皆無で、合理性を否定する票が10票、不確実とする票が1票だった。
アデュカヌマブは製薬大手のエーザイと米バイオジェンが共同開発した。