米FDA諮問委員が抗議の辞任、アルツハイマー病新薬の承認めぐり
(CNN) 米食品医薬品局(FDA)諮問委員会の委員が9日、アルツハイマー病の新薬「アデュカヌマブ(製品名アデュヘルム)」の承認に抗議して辞任したことを明らかにした。
FDAは7日、末梢(まっしょう)・中枢神経系薬物諮問委員会(PCNS)の反対を押し切って、アデュカヌマブを承認していた。
米大手医療機関メイヨークリニックの神経学者デービッド・ノップマン医師はCNNの取材に対し、同委員会の委員を辞任したことを確認。「もし今後も委員を務めるよう求められた場合、アデュカヌマブの諮問委員が受けたような無礼な扱いを受けたくない」と説明した。「私はアデュカヌマブ承認の決定には反対だが、臨床治療や臨床研究の現場にいる我々は、この新しい状況に順応することを学ばなければならない」としている。
同諮問委員会はアデュカヌマブについて、承認を支持できるだけの根拠がないと判断していた。アデュカヌマブは認知症状が進行する前の非常に初期のアルツハイマー病患者への投与を想定しているが、初期の臨床試験(治験)では効果の兆候が全く認められなかった。しかし同薬を開発した米バイオジェンは再度データの分析を行った結果、一部の患者に対して効果の兆候が認められたとしていた。
STATニュースの報道によれば、FDA末梢・中枢神経系薬物諮問委員会からはノップマン氏のほかに、ジョエル・パールマッター委員も辞任した。
アデュカヌマブをめぐっては、有効性が確認できなかったことから2019年に臨床試験が中止された経緯がある。
諮問委は昨年11月、同薬の有効性を裏付ける根拠をめぐって投票を行い、同薬が患者を救うことができるという見解は否決、脳に対する効果があるかどうかについては不確実と判断した。