結婚の事実忘れたアルツハイマー病の男性、妻と再び恋に落ちる
リサさんは「とても感動した。彼は私と2度恋に落ちてくれた。光栄で、プリンセスやシンデレラのような気持ちだった。私は世界で一番幸運な少女だ」と語る。
プロポーズを受けた後の様子を動画に撮影しリサさんの子どもたちに送ると、2人がもう一度結婚の誓いをして、永遠の愛をたたえてはと提案があった。ためらいもあったが、リサさんはこれに乗った。夫との新たな美しい思い出を作る機会を失いたくなかった。
イベントプランナーであるリサさんの娘が知り合いの業者に連絡して、儀式を無料でやってもらえることになった。
今年4月26日に、ピーターさんとリサさんは再び祭壇の前に立った。認知症の専門家が式を執り行い、2人はシンプルな誓いを交わした。
リサさんは「式に臨むに当たって期待は抱いていなかった。この病気はとても予測不可能だから」と語ったが、その日は一日中ピーターさんは晴れやかな表情だったという。
「誓いのときに、彼は私にただ『リサ、愛している』と言ってくれた。それが私がほしかった全てだった」(リサさん)
リサさんは、ピーターさんが式の最中にリサさんが誰かを忘れてしまう可能性も分かっていたが、そんなことは心配していなかった。「私は彼の愛する人。妻のような呼称や私を呼んでくれたニックネームは必要ない」「彼が私を愛し、私が彼を愛する。それだけが重要」と語った。
リサさんは今、アルツハイマー病の人の介護者を支援するブログを書きながら、ピーターさんに専念している。病気が進行するにつれ、幻想や偏執症、極度の記憶喪失といった症状が起き、現実と向き合う日々を送っている。
この先何が起きても――ピーターさんが家にいても、施設に入っても――ピーターさんはリサさんのものであり、リサさんはピーターさんのものだ。
「私たちは最後まで一緒。何も私たちを引き裂くことはできない」とリサさんは語った。