東南アジア歴訪中の米副大統領、会見の質問はアフガン危機絡み
(CNN) 東南アジアを歴訪中のハリス米副大統領は23日、シンガポールでリー・シェンロン首相との共同会見を行った。シンガポールとベトナムを訪れる今回の外遊は、バイデン政権によるアジア外交強化の一環とみられるが、記者団からは大混乱を引き起こしているアフガニスタンからの米軍撤退に関する質問が飛んだ。
混乱の中で首都カブールが陥落したアフガニスタン情勢をめぐっては、バイデン政権発足後最初の外交危機との見方も出ている。
別室にいる記者からモニター越しに質問を受けたハリス氏は、アフガニスタンの状況について「何が起きたのか、しっかりとした分析がなされるのは間違いなく、またそうでなくてはならない」と強調した。一方で米軍撤退に当たって取られた作戦行動上の手順に個人として満足しているかとの質問には明言を避けた。
ハリス氏は4月、自身を含む複数の顧問による助言を受けてバイデン大統領が最終的にアフガン戦争の終結を決断したと明かしていた。直近の1週間には、当該の問題に関してバイデン氏が受けた数多くのブリーフィングにも同席している。
今回の外遊に先駆け、ハリス氏の顧問に対しては、アフガン戦争の無秩序な終結がアジア諸国の首脳に対する同氏のメッセージに悪影響を及ぼすのではないかとの質問が複数飛んでもいた。
ハリス氏は23日の会見で「当面は米国人、米国と仕事をしたアフガン人、女性や子どもを含む弱い立場のアフガン人たちを退避させることのみに注力する」と付け加えた。またバイデン氏が現地から届く画像などによって強い感情にとらわれている様子も示唆した。
政治の専門家の間では、ハリス氏が就任以来ほとんど経験してこなかった圧力にさらされていると指摘する声が、同氏に近い人物からのものも含めて上がっている。それは危機に直面する政権に外交的勝利をもたらし、アジアに外交の軸足を移すとのバイデン氏のかけ声を具現化するという、二重の責任に伴う重圧だ。
バイデン氏が東南アジアにどれほど注意を向けているのかについては、すでに疑問視する見方も出ている。同氏は就任以来、まだ東南アジアの首脳に向けて直接言葉をかけたことがない。一方でアフガン戦争を終結させる部分的な理由として、政策の焦点を中国の台頭に対抗するといった現在の問題に移行させたい考えがあることを明らかにしていた。