自宅に押し寄せる洪水を生中継、死亡した女性の最後の動画 米テネシー州
(CNN) 米テネシー州中部で20人の命を奪った大規模な洪水。自宅が濁流にのまれる中で、リンダ・アーモンド・ブライアントさん(55)はフェイスブックでライブ中継を始めた。
「今、洪水に見舞われています」「本当に怖い」と伝えるブライアントさん。戸口にはがれきが水に流され押し寄せていた。
ブライアントさんが投稿したと思われる動画はこれが最後だった。息子によると、ブライアントさんはこの洪水のために命を落とした。
21日にテネシー州中部を襲った鉄砲水では、ブライアントさんを含む少なくとも20人が死亡した。生後7カ月の双子も命を落とした。
住宅は270棟以上が損壊し、一部は土台から押し流された。
ブライアントさんが撮影した約70秒の動画では、何かが家にぶつかったらしいという男性の声に続いてブライアントさんが「怖い」とつぶやき、約10秒後に「オー、マイグッドネス、オー、マイグッドネス」と叫んでいた。やがて2人とも水につかった。
当時一緒にいた息子のトーマス・アーモンドさんは24日、CNNの取材に応じ、2人は浸水した家のわきに30分ほどしがみついていたと振り返った。
そこへ火の付いた家が押し流されてきたため、2人は逃げようとして濁流にのまれ、別の家にぶつかった。「私たちはこの家の角にぶつかって、2人とも下に引きずり込まれた」「私は多分、30~45秒ほど下にいた」とトーマスさん。「浮上して周りを見回すと、何度か母を呼んだけれど、母の姿は見えなかった」
再び押し流されたトーマスさんは、別の建物の屋根によじ登り、4時間後に救助された。しかし母のブライアントさんは助からなかった。