子どもの入院が過去最高を更新、基礎疾患なく重症化の症例も 米国
子どもは重症化しないという説も、デルタ株によって覆されつつある。
かつては「症状が重くなる子どもの大部分は、別の疾患や合併症のある子どもだった」とコロンビア大学医療センターの小児科医、スザンナ・ヒルズ氏は言う。「しかし今はデルタ株の影響で状況が変わり、必ずしも合併症のない子どもが入院している」
最初は軽症だったり無症状だったりした子どもが、数週間から数カ月後に小児多系統炎症性症候群(MIS―C)という症状のために入院するケースもある。
CDCによると、MIS―Cは新型コロナに関係したまれだが深刻な疾患で、心臓、肺、腎臓、脳、皮膚、目、胃腸などの臓器に炎症が起きる。これまでに少なくとも4661例の症例が報告され、うち41人が死亡した。
フィラデルフィア子ども病院のポール・オフィット医師によると、MIS―Cを発症した子どもの多くは、新型コロナに感染した当初の症状はそれほど重くなかったという。「しかし1カ月たって高熱を出す。肺、肝臓、腎臓、あるいは心臓にダメージの形跡がある。そこで我々の病院にやって来る」
CDCによれば、MIS―C患者の99%は新型コロナ検査で陽性と判定され、残る1%は感染者と接触していた。患者の中間年齢は9歳だった。
「子どもを守るための最善の対策は、日常の行動を通じて子どもと家族全員を新型コロナウイルスに感染させないようにすることだ」とCDCは述べ、12歳以上の子どもにワクチンを接種させるよう促している。
たとえ両親がワクチン接種を済ませていたとしても、無症状のままブレークスルー感染して、知らないうちに子どもたちにうつす可能性もある。
このため、幼い子どもをもつ親は、屋内であっても公共の場でマスクを着用する必要があるとCDCのロシェル・ワレンスキー所長は強調。ワクチン接種年齢に満たない子どもは「ワクチンを接種した人たちで取り囲む」ことが大切だと話している。