バイデン氏、ATF局長の指名撤回 承認妨げたと共和党批判
(CNN) バイデン米大統領は9日、アルコール・たばこ・火器爆発物取締局(ATF)の局長にデービッド・チップマン氏を指名した人事案を撤回すると発表した。
バイデン氏は共和党が人事案の承認を妨げたと批判した。「彼は模範的なATF局長になり、違法な銃取引業者の取り締まりや銃暴力のない安全な街づくり支援の取り組みを一層進めるはずだった」「共和党議員が銃犯罪に対応せず、それを政争の具に利用する意図は明らかで、承認阻止に足並みをそろえた」と語った。
ただ、承認への懸念の声は穏健派の民主党議員や無所属のアンガス・キング議員(メーン州選出)などからも上がっていた。銃規制に関する過去の記録が理由となっていた。
チップマン氏は承認が検討されたことは光栄だとの声明を発表。「ATFは承認を受けた局長が率いる必要がある。それは公衆に説明責任を果たし、子どもや地域社会の安全確保にあたり何ら特別な利益を追求しない人物だ」と述べた。
ある政権高官はCNNに対し、ホワイトハウスは採決に持ち込めないと判断して撤回を決めたと語った。今後は政権内で承認の不要な仕事を任せる予定だという。
チップマン氏はATFの元キャリア官僚だが、銃所持の権利支持者や全米ライフル協会からは、ガブリエル・ギフォーズ議員の立ち上げた団体で顧問を務めた際の仕事が問題視された。同議員は2011年にアリゾナ州の地元選挙区でのイベントで銃撃を受けた。
民主党幹部は早期に承認支持に回っていたものの、一部の上院議員の間では、より厳格な銃規制を求める過去の活動が局長としての職務の実効性を弱めるのではないかとの懸念がくすぶっていた。
承認の検討で開示された19年の法律事務所での講演では、チップマン氏はATFや法執行当局の典型的な人物ではないと自己紹介し、そうした集団は「とても保守的で、主に白人男性からなる集まり」と発言していた。上院への提出書類に関連した12年以降の一部のインタビューやイベントについては、情報を開示しなかった。
バイデン氏がチップマン氏を指名したのは今年4月。15年以降不在の正式な局長を据えようと上院の承認獲得を目指していた。