民間人10人を殺害したカブール空爆、米軍の責任は問わず 米国防総省
(CNN) 米軍が今年8月、アフガニスタンのカブールをドローンで空爆し、子ども7人を含む民間人10人を殺害した問題について、米国防総省のロイド・オースティン長官は、米軍関係者の責任は問わない方針を決定した。
ジョン・カービー国防総省報道官の13日の記者会見によると、オースティン長官は空爆に関する検証結果を受け、米中央軍と特殊作戦軍の司令官に対し、国防総省の方針や手順を改善するための勧告を行うよう指示した。しかしその勧告の中に、8月の空爆にかかわった関係者の責任を問う内容は含まれていなかった。
これで8月の空爆に関する懲戒処分は行われないことになる。国防総省はこの空爆について、「遂行の手違い」に起因する「悲劇的な過ち」だったと説明していた。
国防総省は、空爆から2週間が過ぎ、CNNなどの報道機関が米軍側の説明に対して疑問を投げかけたことを受け、ようやく過ちを認めていた。
米軍が殺害したのは、食糧支援の非営利組織NEIのために働いていたアフガニスタン人のエズマライ・アフマディさんだった。アフマディさんは一家で米国に移住するためのビザ申請手続きを進めていた。空爆ではほかに、アフマディさんの家族を含む9人が犠牲になった。
NEIのスティーブン・クウォン代表は国防総省の決定について、「軍が誤ってアフガン人10人の貴重な命を奪っておきながら、誰の責任も問わないとはどういうことか」と強く非難した。
オースティン長官が8月の空爆に関する責任をもっと強く追及しなかった理由についてカービー報道官は、「本件に関しては、個人の責任を追及できるだけの根拠がなかった」と釈明した。
国防総省は2019年3月にシリアで行った空爆でも民間人を殺害したことを、最近になって認めている。