マダガスカルの食料危機、「気候変動に起因」は誤り 新研究
(CNN) 国連世界食糧計画(WEP)や多数のメディアはかねて、アフリカ南東部の島国マダガスカルについて、世界初となる気候変動由来の飢饉(ききん)が起こる瀬戸際にあると警鐘を鳴らしてきた。ところが新たな研究によると、人間の活動が引き起こす気候危機は同国における現行の食料不足とほとんど関係がないという。
マダガスカルでは降水量の低い年が続き、干ばつが長期化。食料の確保が困難となり、すでに数万人が飢餓に近い状態に置かれている。
これについて英インペリアル・カレッジ・ロンドンが主導する国際組織、ワールド・ウェザー・アトリビューション(WWA)の科学者らは、研究の結果、同国の気候の自然な変動が干ばつの理由として最も可能性が高いことを突き止めた。
加えて貧困や脆弱(ぜいじゃく)なインフラ、降雨への依存度が高い農業も食料危機の背景にあるとしている。
マダガスカルの降雨量は過去2年続けて例年の6割前後にとどまった。これは30年ぶりの低い水準となる。干ばつによって南部では農産物が広く不作に見舞われ、WFPによれば全国で130万人が食料支援を必要としているという。
今回科学者らは、気候変動によって降雨量が下がったとする理論を完全に排除はしないとしつつ、その役割は極めて小さいと指摘。多少の影響はあったとしても、同国で過去に繰り返されてきた気候のパターンとの違いは見られないと結論した。