マダガスカルの食料危機、「気候変動に起因」は誤り 新研究
対象としたのは被害の大きかった南西部で、天候の記録や気候予測、コンピューターのシミュレーションを用いて現在と過去の気候条件を比較した。
その結果、同地域は元々降水量のパターンに大きな変動があったことが分かった。現在の気候だと、マダガスカルはいかなる年でも135分の1の確率で今回のような干ばつに見舞われる可能性があるという。
とはいえ、マダガスカルが気候危機に脆弱であることには変わりがなく、こうした危機は主として人間による化石燃料の使用で促進するとされる。「地球温暖化が一段と進めば、マダガスカルはより強力な熱帯低気圧の被害を受ける公算が大きい。各地で干ばつも増える恐れがある」。米プリンストン大学に籍を置く博士課程終了後の研究員で、今回の研究にも参加したリサ・タールハイマー氏はそう懸念する。
WFPはWWAの研究を受け、マダガスカルの食料危機は複数の要因がもたらす複合的な結果だと強調。具体的には平均を上回る気温と低い降水量、農産物の不作、自給自足農業に依存する地域共同体の脆弱性などが該当し、そこに新型コロナウイルスの感染拡大による経済的打撃が追い打ちをかけたとの見解を示した。
そのうえで「WWAの研究は2019~20年の干ばつについて、人間由来の気候変動のみに帰するものではないとしているが、地球温暖化が脆弱性に拍車をかけることは認めている」と述べた。