タリバン、投降したアフガン治安要員を数十人処刑 人権団体報告書
(CNN) 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は11月30日、アフガニスタンのイスラム主義勢力タリバンが8月中旬の実権掌握後、投降した治安要員数十人を処刑したとする報告書を発表した。
HRWの報告書では、アフガン治安部隊(ANSF)の元要員47人の「即決処刑または強制失踪」について詳述している。47人には軍要員や警官、情報機関員、民兵が含まれ、いずれも8月15日から10月31日にかけて投降するか、タリバンによって逮捕されたという。
報告書は計67回の聞き取り調査を基にしたもので、このうち40回では目撃証人や親族、友人を対象に対面で聞き取りを行った。一部の人は匿名で報告書に記載されている。
タリバンは以前、国際社会に対し、前回政権を担った20年前よりも包括的な政権を率いると主張。タリバンの指導者はアフガン駐留米軍に協力した人物について、刑の執行を猶予すると約束していた。
CNNは報告書の主張について独自に確認できていない。
一方、タリバンの報道官はHRWの報告書を拒絶。実権掌握初日に全国民の恩赦を表明したことに言及し、「これに基づき連邦政府のすべての軍人と非軍人が赦免された。アフガニスタンで通常の生活を営むことができ、誰も危害を加えないと告げられた」と説明した。
一部の元治安要員が危害を受けた例はあると認めたものの、件数は報告書に挙げられているほど多くないと述べ、原因はタリバンの政策ではなく個人的な恨みだとしている。
HRWの調査では、タリバンが8月15日の首都カブール制圧以降、調査対象となった4州だけで100人以上の元治安部隊員の殺害や強制失踪に関与したことが示されている。