米弾道ミサイル原潜、異例のグアム寄港 中国や北朝鮮にメッセージか
ワシントン州バンゴーやジョージア州キングズベイにある母港の外では艦影が撮影されることさえまれだ。徹底した秘密主義の結果、弾道ミサイル原潜は「核の3本柱の中で最も生残性の高い部分」となっている。核の3本柱にはこれ以外にも、米本土のサイロに格納される弾道ミサイルや、B2やB52のような核兵器を搭載可能な爆撃機がある。
ただアナリストによると、台湾の地位を巡る米中間の緊張がくすぶり、北朝鮮がミサイル実験を強化する中、米国は弾道ミサイル原潜を展開することで中国や北朝鮮には不可能なメッセージを発することができるという。
米海軍の元潜水艦長で、現在は新アメリカ安全保障センターでアナリストを務めるトーマス・シュガート氏は「意図的かどうかはともかく、弾道ミサイル原潜はメッセージを送っている。米国は100発あまりの核弾頭を相手の玄関先に配置することができるが、相手はそれを知ることすらないか、あるいは大した対応が取れない、というメッセージだ。これが逆の立場になることはありえず、そうした状況はしばらく続く」と述べた。
北朝鮮による弾道ミサイル原潜の開発計画はまだ始まって間もない。中国は推定6隻の弾道ミサイル原潜を保有するが、米海軍の保有数には見劣りする。
また戦略国際問題研究所の専門家による2021年の分析によると、中国の弾道ミサイル原潜は米国のものほどの能力はない。中国の094型弾道ミサイル潜水艦は米潜水艦の倍の騒音を発するため探知されやすいほか、ミサイルや弾頭の搭載量でも劣る。