アフガン民間人10人を殺害したドローン空爆、米軍が映像を公開
(CNN) 米軍は19日、アフガニスタンの首都カブールで昨年8月に行ったドローン空爆の映像を公開した。標的を誤認したこの空爆で米軍は、子ども7人を含む民間人10人を殺害していた。
映像はカブールの上空から撮影されたもので、市内を走行する白いトヨタのカローラを追跡している。米軍は、この車が爆弾を積んだ過激派組織イラク・シリア・イスラム国(ISIS)の分派組織「ISIS―K」の車両だと確信し、先制攻撃の対象とした。
米国防総省は当初、米軍に対する攻撃を計画していたISIS―Kのメンバーを殺害したと主張していた。米軍のアフガン撤収期限が迫る中、3日前には空港前で起きたISIS―Kの自爆テロにより、米兵13人とアフガン人数十人が死亡していた。
しかし実際は、米軍が追跡していたのは食糧支援の非政府組織NEIのために働くアフガニスタン人のザマライ・アフマディさんだった。アフマディさんは特別移民ビザを申請し、家族と共に米国に移住する予定だった。
空爆から約3週間後、米軍は罪のない民間人10人を誤って殺害したことを認めた。空軍は空爆の経緯を検証した結果、「戦争法を含め、法律違反はなかった」と判断した。この過ちをめぐり、関係者は誰も責任を問われなかった。
公開された3本の中で最も長い15分の映像は、カブール市内の道路を走行する車を白黒の画面でとらえている。5分ほどたったところで車は目的地に着き、バックでゆっくり駐車場に入り始めた。
7分7秒が経過したところで、レーザーが目標をとらえたことを示す「LRD LASE DES」の文字が画面に表示された。車の周りには少なくとも2~3人の姿が見えている。33秒後、車は光る火球の下に消えた。
ドローンの映像が爆発の様子を記録しながらズームアウトすると、破壊された車から煙が上がっていた。ドローンは上空で旋回を続け、爆発現場には人が集まっている。約3分後、画面は白黒からカラーに切り替わり、爆発現場の周りに人が集まっている様子をとらえた。人々は屋根の上に立ち、バケツで水をかけて車の火を消そうとしていた。
米中央軍の報道官は映像の公開にあたり、「この攻撃は、我が軍に対する差し迫った脅威があると判断して行われたが、殺害された家族は誰一人、ISIS―Kとの関係はなく、我が軍を脅かす恐れもなかった」と述べ、「この攻撃の結果、人命が失われたことを心から遺憾に思う」とした。
2本目の映像は約5分の長さで、攻撃前後のカローラを高画質のカラー映像でとらえている。途中、建物の陰に隠れて車が見えなくなると、画面は白黒に切り替わり、車の上にダイヤモンド型の照準が現れた。照準が紫色に変わった数秒後、車にミサイルが命中。画面はカラーに戻り、間もなく現場に人だかりができ始めた。映像はその後、爆発現場から遠ざかった。
3本目の動画も約5分の長さで、カブール市内の数カ所をドローンで偵察後、多数の白い車が停車している駐車場に照準を合わせている。