アジア系への憎悪犯罪、米サンフランシスコで昨年567%増
(CNN) 米サンフランシスコで2021年、アジア系の人々に対するヘイトクライム(憎悪犯罪)の件数が567%増えていたことが分かった。市当局が今週、明らかにした。
サンフランシスコ警察のビル・スコット本部長は25日の記者会見で、「これは重要かつ、懸念を抱かせるもので、憂慮すべきだ」と指摘し、翌週に控える旧正月を前に、アジア太平洋諸島系(AAPI)の住民社会について言及した。
サンフランシスコ警察はアジア系住民に対するヘイトクライムについて、19年が8件、20年が9件、21年は60件と報告している。
スコット本部長は21年中の事案30件超が、意図的にアジア人を標的とした同一人物の犯行によるものと説明。この男は8月に強盗、器物破損の容疑で逮捕された他、ヘイトクライムを助長させた疑いも掛けられている。
同本部長はまた、さらに別の逮捕事案を取り上げ、アジア系住民2人をバス停で刺傷させたとされる人物の事案について「これは世間の大きな注目を集め、我々の街のイメージを傷つけた」と嘆いた。
また同じ記者会見に出席したロンドン・ブリード市長も、「私は打ちひしがれ、いら立ち、困惑している。我々のアジア人社会に属する人々の多く、とりわけ年長者に影響を与え続けている暴力沙汰について、私は怒っている」と述べた。
同市長は街の多様性を指摘しつつも、さまざまな地域社会がヘイトクライムに見舞われているとし、AAPIの社会、特に年長者において顕著であることを認めた。
アジア系米国人の団体は同日、サンフランシスコの地方検事局、市、郡を相手に連邦法上のヘイトクライム訴訟を起こした。AAPIの住民社会を守り、平等な司法上の保護を図る手続きの制定を求めている。