米・NATOの回答、ロシアの懸念払しょくせず ラブロフ外相
モスクワ(CNN) ロシアのラブロフ外相は27日、ロシアの安全保障上の要求に対する米国と北大西洋条約機構(NATO)の書面回答は、NATOの東方拡大に対するロシア側の懸念を払しょくするものではなかったと述べた。ロシアに対しては隣国ウクライナに侵攻するのではないかとの懸念が高まっている。
ラブロフ氏はモスクワで記者団に「主要な論点で前向きな回答がなかった」「主要な論点とは、NATOがこれ以上東方に拡大するのを許容できないこと、ロシア連邦の領土を脅かす攻撃用武器を配置しないことに関する我々の明確な姿勢を指す」と述べた。
ロシアはウクライナとの国境周辺で大規模な軍の増強を進めており、両国間の緊張はこの数年で最も高まっている。
ロシアは侵攻の計画を繰り返し否定する一方で、NATOによる兵器供与の増加や軍事訓練の実施といったウクライナ支援がロシア西側国境の脅威を高めていると主張している。
ラブロフ氏は、米国とNATOが以前、欧州安全保障協力機構(OSCE)の枠組みの中でロシアの安全を犠牲にする拡大は行わないと合意していたと指摘。「我々は口頭での約束や、OSCEの全加盟国が署名した書面を提示している。そこには米国大統領(1999年のイスタンブール宣言、2010年のアスタナ宣言)も含まれる。我々の西側パートナーはより深刻な状況から出ていく必要がある」と述べた。
さらに「この原則は明確に述べられていて、2つの相互に関連する主要なアプローチがある。1つ目は、すべての国に軍事同盟を自由に選択する権利を認めること、2つ目は、すべての国が他国の安全保障の犠牲の上に自国の安全保障を強化しない義務を負うことだ」「言い方を変えれば、同盟関係を選択する権利は、ロシア連邦を含む他のOSCE加盟国の安全保障上の利益を考慮に入れる必要があるという、明確な条件が付されているということだ」と語った。
ただ、今回の書面回答が今後の真剣な議論につながる可能性はあると認め、それは2点目に関する議論になると付け加えた。