米国の136億ドルのウクライナ支援、その中身は?
(CNN) 米議会で審議が進む大型歳出法案にはロシアの侵攻に抵抗するウクライナ向けの136億ドル(約1兆6000億円)の軍事・人道支援が含まれている。
議会は今週中にこの法案を通過させる予定だ。
法案に含まれるウクライナ向けの金額は、議員たちが数日間にわたって交渉した結果、ホワイトハウスが先週要求した100億ドルから増加した。
ウクライナ支援は、昨年10月に始まった2022会計年度の連邦政府の支出上限を決める歳出予算案に添付されている。議員たちは数カ月にわたって通年の予算案について議論し、その間の政府の運営を維持するために3つの暫定予算案を可決した。
2741ページに及ぶ法案は9日朝に発表された。議会は、政府閉鎖を避けるために、11日の真夜中までにこの法案か別の暫定予算案を通過させなければならない。ウクライナ支援で超党派の支持があることもあって、議員らは法案が期限までに通過すると楽観視している。
ウクライナ支援金の使途
ウクライナに対する136億ドルの支援金は、以下のように使われる予定だ。
軍事援助
下院歳出委員会が出した法案の概要によると、支援パッケージの約半分の65億ドルは、米国防総省が地域に部隊を派遣し、ウクライナに防衛装備を送るのに使われる。
米国はロシアがウクライナに侵攻する前から、そして侵攻後も、欧州全域に数千人の軍隊を配備してきた。しかし、北大西洋条約機構(NATO)非加盟のウクライナに軍隊を派遣することは、米国と西側の同盟国にとって越え難い一線だ。
人道支援
下院歳出委員会が提供したファクトシートによると、40億ドル超がウクライナから逃れた難民や国内で避難生活を送る人々への人道支援、同地域の脆弱(ぜいじゃく)なコミュニティーへの緊急食糧支援や医療、緊急支援を提供する。
経済支援
サイバーセキュリティーやエネルギー問題など、ウクライナおよび周辺国の経済的ニーズへの対応に約18億ドルを提供する。
また、同法案では、海外のニュース放送における偽情報に対抗するため、独立した連邦機関である米グローバルメディア局向けの2500万ドルの予算を要求する。さらに1億2000万ドルが、ウクライナの活動家やジャーナリストを支援し、ロシアの人権侵害に対する説明責任を求めるために使われる。
これまでのウクライナ支援
米国は長年にわたりロシアの侵略に抵抗するウクライナを支援しており、14年にロシアがウクライナ東部に侵攻し、クリミアを占領した後、支援を拡大した。
米国務省によると、以来、米国はウクライナに総額56億ドル超の支援を行ってきた。
昨年だけでも、米国はウクライナの民主化と経済発展を支援するために3億ドル超、安全保障支援に6億5000万ドル超を支出した。そのうち約2億ドル(約232億円)は、緊張が高まっていた昨年12月に承認された。
先月ロシアがウクライナに侵攻した数日後には、国務省がウクライナに約5400万ドルの人道支援を行うと発表した。