統制乱れるロシア軍、戦場の最高指揮官はだれ? 米国は確認できず
(CNN) ロシアがウクライナでの戦争を率いる軍の指揮官を指名しているのかどうか、米国は確認できていないことが分かった。事情に詳しい複数の情報筋が明らかにした。現旧当局者は、ロシアの攻撃が拙劣で無秩序なように見えるのはこれが主因である可能性が高いとしている。
米国防当局者2人によると、全戦域を統括する最高指揮官がウクライナ国内や周辺にいない中、異なるロシア軍管区から来てウクライナ各地に展開する部隊は、互いの活動を調整するどころか、むしろリソースを奪い合っているように見えるという。
情報筋らは、ウクライナ全土でロシアの攻勢に参加する各部隊は連携が取れておらず、包括的な作戦設計なしに独立して行動しているように見受けられると指摘する。
ロシア軍は通信面でも大きな問題を抱えているように見える。兵士と指揮官が民間の携帯電話などセキュリティーの確保されていない手段を使って会話する場合もあるため、通信が傍受されやすく、ウクライナ軍が反撃の標的を定める助けになっている。
これら全てが要因となり、ちぐはぐで時に混乱した作戦が展開され、欧米の当局者を驚かせる状況になっているという。
過去にはロシアがこの種の情報を公開した例もあったが、国防省はウクライナでの作戦を統括する最高指揮官について言及しておらず、CNNのコメント要請にも応じなかった。
ロシアがひそかに最高指揮官を指名した可能性はあるものの、米欧州陸軍のハートリング元司令官によれば、戦闘の状況を見れば彼が「無能」なことがうかがえるという。
今回の侵攻はロシアの高級将校の死者が異常に多いことも特徴となっている。
ウクライナは最初の3週間でロシア軍の将官5人を殺害したと主張。CNNはこの主張について独自に確認していないが、デビッド・ペトレイアス退役陸軍大将は20日のCNNの番組で、将官が1人でも死亡するのは異例なことだと指摘した。
ロシアの地方国営テレビ「GTRKコストロマ」の17日の報道によれば、ロシアのエリート空挺(くうてい)部隊の指揮官であるセルゲイ・スハレフ大佐も死亡した。
ペトレイアス氏は「要するに、ロシアの指揮統制は崩壊したということだ」と指摘している。