トランプ氏、メキシコ麻薬組織へミサイル攻撃提案 前国防長官
ニューヨーク(CNN) 米国のトランプ前政権時代に国防長官を務めたマーク・エスパー氏が最近出版した回顧録の中でトランプ氏がメキシコの麻薬密輸組織へのミサイル攻撃を提案したことを暴露し、米国防総省がこのくだりの削除などを働きかけていたことが21日までにわかった。
この問題の経緯に詳しい関係者がCNNに明らかにした。同省は公表されると、米国とメキシコの両国関係がきしむ可能性があると懸念し、強く反対したという。
エスパー氏は不適切な検閲と反発し、同省を提訴する事態にも発展していた。
同氏は回顧録の原稿を国防総省に渡し、機密情報など機微に触れる材料が使われていないのかの確認を求めていた。政権高官の経験者が書物を著す際に通常求められる手続きで、社会への情報公開の抑止は意図しておらず、政府内の前職あるいは現役の当局者らを困惑させるような情報の開示を避けるのが狙いとなっている。
エスパー氏が回顧録でトランプ氏によるミサイル攻撃の提案を明かしたことは米紙ニューヨーク・タイムズが最初に報道。前大統領は麻薬密輸組織の工場を破壊するためミサイルを撃ち込み、麻薬カルテルを一掃させる案を口にしたという。
CNNは回顧録のこの一節の部分のコピーを入手。エスパー氏はミサイル攻撃に関するトランプ氏とのやり取りを「非常にやっかいだった」と振り返ってもいた。「もし大統領の顔を見なかったら、全て冗談の発言だと考えていただろう」とも述懐した。
エスパー氏の提訴は、国防総省に回顧録の原稿を引き渡した後のことで、既にバイデン政権時代に入っていた。同省は「機密事項を口実」にし、「重要な部分」を「不適切に押さえた」と主張していた。
ただ、エスパー氏の弁護士によると、国防総省がその後、問題となっていた一節の大幅な部分で方針を転換させたため提訴を取り下げていた。