米議事堂襲撃事件、特別委員会の公聴会で浮かんだポイント
(CNN) 昨年1月6日に発生した米連邦議会議事堂襲撃事件を調査する下院の特別委員会は9日夜、ゴールデンタイムでは初となる公聴会を開催した。これまでの調査結果の詳細が明らかにされたほか、事件現場での暴力を捉えた新たな映像も流れた。
同様の公聴会は今月複数回予定されており、特別委員会による調査の結果に焦点が当たるとみられる。調査では1000人以上を対象とした聞き取りを実施。当時のトランプ大統領とそのチームがいかにして2020年の大統領選の結果を覆そうとしたかを巡り、あらゆる方面から分析する内容となっている。
詳細の多くはCNNをはじめとするメディアがすでに報じているが、委員会は公聴会を通じ、事件の顛末(てんまつ)を米国民全体に周知する意向とみられる。
公聴会での主な要点は以下の通り。
生々しい映像でよみがえる事件の恐怖
委員会は、事件の様子を捉えた最も不快な部類の映像を流した。そこには防犯カメラで撮影された上から見下ろす構図の映像など、これまで公開されていなかった映像も含まれていた。
映像には、トランプ氏支持者の大群衆が議事堂の敷地内を埋め尽くしていく様子が映っている。暴徒の1人は、トランプ氏のツイートをメガホンで読み上げ、他の暴徒たちに聞かせている。ツイートは選挙結果を覆さないと表明した当時のペンス副大統領を非難する内容だった。ペンス氏がこのとき議長を務めていた両院合同会議では、バイデン氏の勝利が承認されることになっていた。
この後は、トランプ氏支持者らが「マイク・ペンスを吊(つ)るせ」と連呼したり、ペロシ下院議長の名前を叫びながら本人のオフィスに向かう映像などが流れた。
事件では140人以上の警察官が負傷したほか、複数の死者も出た。公聴会での生々しい映像は、事件当日が米国の歴史に残る暗黒の日だったことを恐怖と共に思い出させる内容だった。
トランプ氏は暴徒の阻止を望まず
委員会は、当時のホワイトハウスの当局者から得た証言を公開。それによるとトランプ氏は議事堂襲撃を阻止するのを望まず、暴徒の制止を強く呼びかける自身の側近にも怒りをあらわにして抵抗したという。
さらに委員会のリズ・チェイニー副委員長が触れたある証言によれば、トランプ氏は「ペンスを吊るせ」の連呼に気づいていながら、心情的にそれを是認するような反応を示したともされる。
極右2団体が話題の中心に
委員会は議事堂襲撃の現場にいた2つの極右過激派団体「プラウドボーイズ」と「オースキーパーズ」に言及した。これらの団体のメンバーは議事堂に最初に侵入した暴徒に含まれており、暴力を計画したとして非難されている。
ドキュメンタリー映画制作者のニック・クエステッド氏は9日の証言で、事件当時プラウドボーイズとともに議事堂に集結したと述べた。ホワイトハウス近くでトランプ氏が演説する前だったとし、彼らが集会に関心を持っておらず、議事堂に目を向けていたことが分かると説明した。
チェイニー氏らはトランプ氏とこれらの過激派団体とを直接結びつけようとした。トランプ氏は20年9月の討論会でプラウドボーイズについて「下がって待機」するべきと呼びかけている。委員会は今回、プラウドボーイズのリーダーらによる新たな証言を紹介。その内容から、彼らがどのようにして当該のコメントを戦いへの招集と受け止めたかが見て取れるとした。
さらに連邦検察がここまでこれらの団体のメンバー17人を扇動共謀罪で起訴していることにも触れ、極めて重大な罪状だと強調した。