ウクライナ侵攻で人身売買が悪化の可能性、米国務長官
(CNN) ブリンケン米国務長官は21日までに、ロシアによるウクライナ侵攻で居住先を追われるなどした国民の苦境を踏まえ、侵攻が原因となる人身売買は今後1年間で悪化する可能性があると警告した。
また、世界規模での食糧危機を深刻化させる恐れもあるとした。世界の人身売買に関する年次の2022年版報告書で述べた。今回の報告書については「前例のない人道危機の渦中にある中での公表」とする危機感も表明した。
長官は報告書の中で、ウクライナ内の戦闘を逃れて国内で行き場を失ったり、国外へ退避したりした避難民の推定9割は女性や子どもと主張。侵攻に伴う食料確保の難しさや国境周辺での混乱などは世界規模での人身売買の危機を深めていると警告した。
今回の報告書の対象期間は昨年4月1日から今年3月31日までで、ロシアが2月下旬にウクライナへ侵攻した後では1カ月余のみのデータを盛り込んでいるに過ぎない。ただ、侵攻はウクライナから逃避する数百万人規模の国民を人身売買の危険性にさらす相当に弱い立場に追い込んだとも主張した。
ロシアは昨年の同報告書の中でほかの21カ国と共に良い順に3番目の評価となっていた。この評価は、人身売買を防ぐ最低水準の対策を講ぜず、そのための目立った努力もしていないとの内容になっている。
さらにロシアを、政府軍、警察、治安維持機関や政府支援の武装勢力が子ども兵士を募ったり、利用したりする12の政府の一つと位置づけていた。政府自身が人身売買に加わる11カ国の1国とも判断していた。