対レーダーミサイルのウクライナへの供与、米国防総省が初めて認める
(CNN) 米国防総省は8日、米国がウクライナに対し、ロシアのレーダーシステムを標的にするための対レーダーミサイルを供与したと明らかにした。国防総省がこれまで未発表だったミサイルをウクライナに供与したことを認めたのは今回が初めて。
コリン・カール国防次官は記者会見で、米国が「いくつかの」対レーダーミサイルを送ったと述べたが、具体的な数量や正確な時期については言及しなかった。カール氏はまた、どのような種類の対レーダーミサイルかについても明らかにしなかった。
国防当局者はCNNの取材に対し、供与したミサイルは「AGM―88」だと明らかにした。
米空軍によれば、射程距離は48キロ超で、米国がウクライナに供与した兵器のなかでは射程距離の長い武器のひとつ。このミサイルは「S400」のようなロシアの対空レーダーシステムを標的にすることが可能だ。S400によって、ウクライナ空軍は領空で広範囲にわたって活動することが困難になっている。ロシア軍がウクライナの大口径の火器を標的にするために使用している対砲兵レーダーを標的にすることも可能だという。
カール氏は対レーダーミサイルはバイデン大統領が承認した軍事支援の一環で供与されたと明らかにした。しかし、7月1日までさかのぼる直近5回の軍事支援では対レーダーミサイルについての言及はなかった。
カール氏は、米国がウクライナ空軍の既存の戦力を維持し、能力を高めるために多くの取り組みを行っていると説明。旧ソ連時代の戦闘機である「ミグ29」を維持するための予備の部品を送っていると述べた。
ウクライナ側は公には対レーダーミサイルの受け取りや使用を認めていない。
一部報道では、ウクライナのロシア軍に対して使用されたミサイルの羽根とみられる残骸が示されていた。