米進歩派議連、ウクライナ政策に関する政権宛て書簡を撤回 民主党議員「激怒」で
(CNN) 米議会の進歩派議員連盟「プログレッシブ・コーカス」を率いるプラミラ・ジャヤパル議員は26日までに、バイデン政権へ宛てた書簡を唐突に撤回した。ロシアによるウクライナとの戦争を巡り、外交の追求を迫る内容だったが、民主党内部から起きた激しい怒りの声を受け方針の完全な転換を余儀なくされた形だ。来月の中間選挙が2週間後に迫る中、同党の議員らは書簡の送付について不意を打たれたと感じている。
撤回に先駆け、ジャヤパル氏は当初6月に署名された書簡を公開していた。書簡はリベラル派の30人がより一層の外交を求める内容で、ウクライナ支援に対する同党の決然たる姿勢を弱めているように読める。書簡を今週公開することは大半の議員が支持していなかった。一部にはこの数日で戦況が一変したとして、今なら署名しないだろうと発言した議員もいる。
書簡は24日に送られていた。
民主党の怒りが表沙汰になり始めると、ジャヤパル氏は書簡がスタッフの手で適正な審査を経ることなく公表されたと主張。連盟の会長として自らがその責任を受け入れると述べた。
下院民主党のある実力者は、書簡が撤回される前、「人々が激怒している。とりわけ最前線に立つ人たちが」と述べていた。具体的には来月8日の中間選挙で議席を失う瀬戸際にある議員らを指す。
書簡は、ウクライナを支援しつつ米国による現地での関与を回避するバイデン大統領の取り組みを称賛する一方、停戦に向けたより強力な働きかけを外交によって行うことが必要と示唆。紛争の長期化を防ぐための措置だと説明していた。
「今回の戦争がウクライナと世界にもたらした破壊を鑑みれば、また壊滅的な結果を引き起こす今後の激化を考慮すれば、ウクライナと米国、世界にとっての利益は紛争の長期化を避けることにあると考える」「こうした理由から、我々は米国がこれまでウクライナに供給してきた軍事的、経済的支援と共に積極的な外交上の働きかけも合わせて進めるよう強く求める。取り組みを強化し、停戦のための現実的な枠組みを模索するべきだ」と、書簡では訴えている。
民主党議員からの反発を受けて、ジャヤパル氏は自分たちの立場を明確化。ウクライナ支援の姿勢に疑いの余地はなく、バイデン政権の戦略にも協力するとした。
一方で少なくとも1人の民主党議員は、ロシアへ外交的な働きかけを行う姿勢を擁護している。
書簡に署名したカリフォルニア州選出のロー・カンナ下院議員はCNNの取材に答え、書簡を撤回したジャヤパル氏の判断を支持しないと明言。「書簡は常識的な内容だったと考えている」「ウクライナを確実に武装させるのは支持する。武器を送り、資金の投入を続けるのに反対はしない。しかし同時に確信しているのは、大統領も言及した通り、我々は核戦争の危機にさらされているということだ」と述べた。
その上で「我が国の政治家がロシアと話し合うべきだとは思わないだろうか? 当然そうするべきだ。事態の激化を確実に防ぐためには」「ウクライナの味方をするのと同時に、外交も支持しよう」と呼びかけた。