ISIS女性部隊率いた女に禁錮20年 子どもに銃や自爆の訓練、娘は虐待訴え 米
(CNN) シリアで過激派組織イラク・シリア・イスラム国(ISIS)の女性部隊を率いていたとされる米カンザス州の女が1日、バージニア州アレクサンドリアの連邦裁判所で禁錮20年の判決を言い渡された。
判決を言い渡されたアリソン・フルークエクレン被告は今年6月、ISISを支援した共謀の罪を認め、自分が指揮して銃や爆弾の使用訓練をした女性100人の一部が子どもだったことは知らなかったと主張していた。この中には10歳の子どももいた。
司法取引によると、フルークエクレン被告は10年にわたってISISなどに協力し、リビアやエジプト、シリアに渡航。米国でのテロ計画について話し合い、ISISの女性メンバーにライフル銃や手投げ弾、自爆ベルトの使い方を教えていたとされる。
1日の判決言い渡しに当たり、検察側はフルークエクレン被告を「ISISの女帝」と呼び、「幼い少女たちを洗脳して殺人の訓練をした」と指摘した。
この日は米政府の捜査に協力したフルークエクレン被告の娘、レイラ・エクレンさんも証言に立ち、母親から虐待を受け、「性奴隷」として結婚させられたと訴えた。
エクレンさんは、自分は13歳の時にISISの戦闘員と結婚させられたと証言。この相手を「レイプ犯」と呼び、母のフルークエクレン被告はISIS内部で力を強めるために娘を戦闘員に与えたと訴えた。
さらに、母親からシラミ駆除薬を顔面に浴びせられて目をやけどするなど、子どもたちが虐待を受けていたとも告白した。
一方、フルークエクレン被告は子どもたちに対する虐待を否定し、自分は優しく面倒見のいい母親だったと主張、夫たち(うち数人はISISの戦闘員として死亡)によってリビアやシリアへ引きずり回されたと訴えた。
女性たちの訓練については、生き延びるために銃の安全な使い方や護身術を教えていたにすぎないと涙ながらに主張した。
さらに「爆撃の恐ろしさは跡地に足を踏み入れてみなければ誰にも分からない」と述べ、戦争で負った心の傷は外部の人間には分からないと訴えた。
禁錮20年は司法取引の条件に基づく最も重い刑だった。連邦地裁のレオニー・ブリンケマ裁判官は判決言い渡しを前に、フルークエクレン被告の証言は信用できないと述べ、自爆ベストは護身のための武器ではないなどと指摘した。
娘と息子は傍聴席で、黙って母親に対する判決言い渡しを見守った。フルークエクレン被告によると、未成年の子ども6人は養護施設に引き取られた。