(CNN) 今回の米中間選挙で、民主党は多くの評論家や専門家の予想を超える成績を挙げた。上院では支持を集めて多数派を維持し、下院でも失う議席数を最小限にとどめることができそうだ。
これにより民主党は、大統領の政党は中間選挙で大幅に議席を失うという慣例を覆した。
ジョー・バイデン大統領は民主党が健闘した要因のひとつとして、若年層の「歴史的な」投票数を挙げた。
データを見たところでは、他の年齢層と比べて若者の参加が突出して多いわけではなさそうだ。だがデータから示されるのは、世代間ギャップが歴史的な大きさに達したことが、選挙予想を覆す要因になった点だ。若者の有権者が圧倒的に民主党候補を支持した。
若年層が突出して多くはないことは、出口調査を見れば容易にわかる。30歳未満が有権者全体に占める割合は12%だった。過去20年間のどの中間選挙でも、この年齢層は全体の11~13%となっている。
(他メディアが報じるデータからも、過去の中間選挙と比較して若者層の割合が大幅に増加していないことがわかる)
今年は過去の大半の中間選挙と比べて、全体的に投票数が伸びた傾向がある。したがって、若年層は例年より大挙して投票所に足を運んではいるものの、どの年齢層にもその傾向があったという状況のようだ。
例年より若年層の割合は増えていないとしても、彼らの存在は大きかった。
若者層の支持がなかったら、民主党は大敗していただろう。今回、45歳未満の票を見ると、民主党の下院議員候補は共和党候補より13ポイントも多く獲得した。一方、45歳以上の票では10ポイント差をつけられ共和党候補に負けた。
さらに詳しくひも解いてみると、30歳未満の票では民主党が28ポイントも共和党候補よりも多く獲得した。2年前の26ポイントからさらに上昇している。
これは他の年齢層とは大きく異なる状況だ。45歳以上の有権者の間では、民主党はあらゆる年齢層で7ポイント以上の差をつけられ負けている。65歳以上の高齢者の場合、差は12ポイントにも広がる。
とくに興味深いと思われるのは、30歳未満の有権者が、30~39歳の有権者よりも圧倒的に民主党に投票したとみられる点だ。30歳未満にはZ世代(1996年以降に生まれた年代)の一部と若いミレニアル世代(2000年以降に成人した世代)が入る。30~39歳の有権者にいるのは年齢の高いミレニアル世代だ。
年齢の高いミレニアル世代は、08年大統領選の予備選挙、続く本選挙でバラク・オバマ氏を支持した最も強力な支持層だった。今年はというと、民主党下院議員候補の支持が勝っているものの、共和党候補との差は11ポイントしかない。
現在の民主党は、過去にないほど最も若い有権者層に依存している。少なくとも、過去数回の選挙より前には見られなかった傾向だ。
ミレニアル世代が30歳未満の大半を占めた最初の選挙(06年)を見てみよう。民主党はこの年齢層の60%から支持を得た。今年は63%だったので、それほど変わりはない。
だが、06年下院選の一般投票数では民主党が大勝し、今年はおそらく数ポイント差で負けるだろう。06年の中間選挙では、民主党はどの年齢層(30歳未満、30~44歳、45~65歳、65歳以上)でも勝利し、30歳未満で60%の支持、65歳以上でも49%の支持を集め、世代間の格差は11ポイントだった。
それが今年は世代間で20ポイントもの開きがあった(63%対43%)。
1990年にまでさかのぼると(現在の30歳未満が生まれる前に行われた最後の中間選挙)、基本的に世代間の開きは存在しなかった。30歳未満では52%、65歳以上では53%が民主党下院議員候補に投票し、両世代で同じような割合だった。
こうした変化をふまえると、バイデン大統領が若者の有権者を称賛するのもうなずける。若年層が民主党連合の屋台骨の一つになっているという点で、バイデン氏は完全に正しい。ただ、8日の選挙結果が実現したのは、若者が大挙して投票所に詰めかけたからというよりは、詰めかけた若者に民主党支持者が非常に多かったからということになる。
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本稿はCNNのハリー・エンテン記者の分析記事です。