米、最先端ドローンの改良を検討 実現ならウクライナへ供与の可能性も
ワシントン(CNN) 米国は多目的に使用可能な最先端ドローン(無人機)「MQ―1Cグレイイーグル」について、改良を施すことを検討している。同機は現在、ウクライナに向けて提供される軍事支援の中に含まれていないが、改良によって供与の可能性が高まることも考えられる。2人の当局者が明らかにした。
当局者の1人によると、具体的かつ極めて技術的な微調整や無力化が当該のドローンに対して比較的近いタイミングで行われる可能性がある。ただ作業自体は時間がかかる上に、かなり複雑な内容だという。
当局者1人はまた、米陸軍の主導によりどういった変更が可能か検討が行われていることを確認した。
変更が施されない場合、グレイイーグルは空対地ミサイル「ヘルファイア」を4基搭載可能。高度約7600メートルを30時間近く飛行できる。
前出の当局者は、必要な改良を施した場合でも、グレイイーグルは依然として戦場でウクライナ軍の役に立つと語った。米国とウクライナの当局者らは、グレイイーグルを巡る話し合いが現在も続いており、ウクライナへの供与が正式になくなったわけではないと指摘した。米紙ウォールストリート・ジャーナルは先に、米国防総省がウクライナ側からの供与の要請を断ったと報じていた。
ホワイトハウスやグレイイーグルを製造するジェネラル・アトミクスにコメントを求めたが返答はなかった。
搭載するミサイルの殺傷能力に加え、グレイイーグルはウクライナに対しより優れた情報収集能力と遠距離からの偵察能力を提供するとみられる。また地上からの砲撃の支援やロシアの飛ばすドローンとの戦闘にも威力を発揮する見通し。
今回の戦争を通じ、米国はより先端的な技術を使用した長距離攻撃が可能な兵器に関して、ウクライナへの供与に消極的だった。例えばロシア国内を攻撃可能なミサイルなどを供与すれば、ロシア政府に対し、戦争が一段と激化したとの印象を与えかねないからだ。
一方でグレイイーグルの場合は、技術上の安全保障についての懸念がより大きいと、米国の当局者は分析する。高価な機体がウクライナで撃墜され、ロシア側の手に渡るリスクを想定しているという。具体的にドローンのどの部分がロシアに入手された場合に最も危険なのか、この当局者は明言しなかった。
米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)の国際安全保障プログラムを統括するセス・ジョーンズ氏は、中心的と目されるグレイイーグルの技術として画像処理と情報収集の能力並びにセンサー類を挙げた。
その上でこれらのドローンについて、実際には前線のかなり後方から飛ばすことができると指摘。敵側に近づけるリスクを負う必要はなく、離れたところからでも攻撃や情報収集は可能だとの認識を示した。