トランプ氏の影響力が低下、米下院議長選で明らかに
(CNN) トランプ前米大統領が2024年大統領選への出馬を表明してから、共和党内でトランプ氏の影響力低下を示すような瞬間はほとんどなかった。だが、決着のつかない下院議長選で様相が変わってきている。
トランプ氏は共和党下院トップのマッカーシー院内総務への支持を表明しているが、過半数の218票をまとめきれていない。
トランプ氏は長年、自らを「取引を成立させるやり手」と認めてきた。共和党の戦略立案者で元トランプ陣営の関係者は、トランプ氏が「自分の望むような影響力や権力を持っていない」と語る。
「彼は熱心にケビン・マッカーシー氏を支持したが、トランプ氏に似たウルトラMAGA(米国を再び偉大に)の議員らは動じていない」(同関係者)
こうした状況は変化しつつある政治状況を示している。トランプ氏は白人至上主義者との会食、憲法停止の呼びかけ、人工妊娠中絶に反対する人々への中傷などで、党内からの支持が弱くなっている。こうした党員らはトランプ氏の政策を支持する一方、新しい指導層を受け入れる姿勢も示し始めている。
トランプ氏は4日、自身が後押しするSNS「トゥルース・ソーシャル」で、マッカーシー氏への支持を力強く訴えた。反対を続ける議員に「取引を成立させる」よう求め、「偉大な勝利を巨大で恥ずべき敗北に変えるな」と記した。
その後になって、反対議員が支持するバイロン・ドナルズ議員を応援するとも書き込んだが、議長に就くのは今ではないとの考えを示した。
だが、こうした呼びかけにも、いわゆる「ネバー・ケビン」の議員らは耳を貸さない。
特にトランプ氏の熱烈な支持者で極右のローレン・ボーバート議員(コロラド州選出)が不満を口にしたのは驚きの瞬間となった。ボーバート氏はトランプ氏から自分や仲間が態度を変えるように働き掛けを受けていると明らかにした。
ボーバート氏は「状況を本当に変える必要はあるが、(前)大統領がケビン・マッカーシー氏に対して、得票できないから撤退する時期だと伝えるべきだ」と述べた。
マット・ゲーツ議員も同様にトランプ氏の働きかけを断固拒絶し、FOXニュースデジタルに対し働きかけは「悲しい」と発言。こうした動きで立場が変わることはないと言明した。
24年大統領選の活動に関わるトランプ氏の支持者の一人は「マット・ゲーツ氏が無視しているというのは良い兆候ではない」と語る。
トランプ政権下で内務長官を務めたライアン・ジンキ氏は、「無視されること」がトランプ氏を最もいらつかせる要因だと指摘。前述の発言をしたボーバート氏について、トランプ氏は以前は支持していたが、今後はわからないと述べた。
トランプ氏は今週前半にも、マッカーシー氏に反対する保守派を切り崩そうと、同氏への支持を求める電話をかけていた。