米、ウクライナ原発に導入の自国技術の流出阻止 ロシアに警告
(CNN) ロシア軍が占領を続けるウクライナ中南部のザポリージャ原子力発電所に米国の機微に触れる原子力技術が導入され、米エネルギー省がロシアの国営原子力企業「ロスアトム」にこの技術の入手などを控えるよう警告する書簡を送付していたことが29日までにわかった。
書簡は今年3月17日付で、CNNもその内容を確認した。書簡の中で同省の核拡散防止担当部局の責任者はロスアトムの幹部に、「同原発には米政府が輸出規制の対象にしている原子力技術のデータがある」と通告していた。
米政府は、自国の製品、ソフトウエアや技術の利用が国家安全保障を損ないかねない危険性が生じた場合、輸出規制対象に含めている。
エネルギー省は書簡で、ロシア国民、ロスアトムやその子会社を含めたロシアの組織がエネルギー長官の権限の付与なく、(輸出規制対象の)技術やそのデータを意図的に保管、管理、輸出や押収などするのは米国内法での違法行為に相当すると警告した。
ロスアトムがこの書簡に返答したのかは不明。エネルギー省の国家核安全保障局(NNSA)は声明でこの書簡は本物の内容と確認した。
同局の広報担当幹部は「エネルギー長官は機密扱いでない民生用の原子力技術や関連の支援を外国の原子力活動へ提供できる法規的な責任を有している」とも指摘した。
欧州で最大規模とされるザポリージャ原発ではロシア軍による激しい砲撃などが原因で外部電源の喪失がこれまでたびたび起き、欧州諸国内で原子力災害への不安をかき立ててきた。
ロスアトムが同原発の運用管理にあたっているが、現場の作業処理はウクライナ人従業員に強い続けているとの指摘もある。米エネルギー省は書簡の中でロシア国民や組織が米国製の技術を扱うのは「違法行為」とも断じた。
エネルギー省の核拡散防止担当部局の責任者は同省の査察総監に昨年10月24日付で書簡を送り、ザポリージャ原発に提供した技術の概略を説明。この中で技術や関連データをロシア国民や組織に移譲するための承認事項は一切ないとも指摘していた。
同省の原子力エネルギー担当部局は2021年に公式サイト上でザポリージャ原発への米側の支援を公表。ウクライナのエネルギー安全保障の確立を最終的に強化し得る同原発の運用支援に関与したなどと記していた。