イスラエル紛争で米国人11人が死亡、バイデン氏明かす
ワシントン(CNN) バイデン米大統領は9日、イスラエルとパレスチナ自治区ガザのイスラム組織ハマスの衝突で米国人11人が死亡し、行方不明者も出ていることを明らかにした。
バイデン氏は声明で、イスラエルへの「恐ろしいテロ攻撃」で死亡した「罪のない民間人」数百人のうち、少なくとも11人は米国人だと発表。その多くはイスラエルに住まいを持っているとした。また複数の米国人がハマスの人質になった可能性が高いとの見方を示した。
さらに居場所が確認できていない米国人もいると述べ、「これは遠方の悲劇ではない。イスラエルと米国のつながりは深い」と強調。米国の多くの家庭が、この攻撃や何千年も続く反ユダヤ主義、ユダヤ人迫害の苦痛を直接感じていると指摘した。
米国務省の報道官が9日、CNNに語ったところによると、米当局はイスラエル政府や被害者の家族と緊密に連絡を取っている。
ブリンケン国務長官は8日、CNNの番組で、米国人の死者、行方不明者がいるとの報告を確認中だと話していた。イスラエルのデルメル戦略問題相は、ガザでハマスの人質になった「多数」の中に米国人が含まれているとの認識を示していた。
米国防当局者がCNNに語ったところによると、米国はイスラエルに対し、人質救出に向けた特殊作戦の立案や情報収集への支援を提供している。
米高官らによると、ガザで拘束された人質をめぐり、カタールが仲介役としてハマスとの交渉に当たっている。ブリンケン氏やリーフ国務次官補はカタールと連絡を取り合っているという。
オースティン国防相は8日、衝突への抑止措置として、米海軍の最新鋭原子力空母、ジェラルド・フォードの打撃群を、イスラエルに近い東地中海に派遣するよう指示したと発表した。
ただし、中東での海軍の作戦を担当する第5艦隊の司令官は現在、中東の米軍全体を統括する中央軍の副司令官に指名されながら、上院で野党・共和党議員が軍人事の承認手続きに抵抗しているため、就任できず待機している状態だ。
バイデン政権はイスラエルに向けたこのほかの軍事支援も検討しているが、下院では議長だった共和党のマッカーシー氏が先週解任されて後任が決まらず、支援の承認を含む審議が滞っている。暫定議長のマクヘンリー氏は休会や議長の指名承認など限られた権限しか持たず、イスラエル危機をめぐる情報が報告される内部会合に出席できるかどうかも明らかでない。
関係者の話によると、政権当局者らは当面、議会の承認を必要としない「緊急時大統領在庫引き出し権限」(PDA)の枠を使って、ただちに武器を供給する案を検討している。