NY州での詐欺訴訟、トランプ氏は最終弁論で発言不可能に
(CNN) トランプ前大統領と同氏の一族企業に対する民事詐欺訴訟を担当するニューヨーク州裁判所のアーサー・エンゴロン判事は10日、トランプ氏が同訴訟の最終弁論で発言しない見通しであることを明らかにした。
トランプ氏の弁護士らとトランプ氏らを提訴したニューヨーク州のレティシア・ジェームズ司法長官に宛てた書簡で明らかにした。それによると、トランプ氏側が陳述を希望する場合に設定された条件に同意しなかったという。
書簡でエンゴロン氏は、最終弁論の条件として合理的かつ合法的な制限を課したもののトランプ氏側から期限内の返答がなく、条件に合意するつもりがないことが推測されると述べた。従って、11日にトランプ氏が法廷で発言することはないとした。
電子メールでのやり取りから、当事者間ではトランプ氏が最終弁論に加わる可能性について、少なくとも先週から議論されていたことがわかっている。
エンゴロン氏は最終弁論でのトランプ氏の発言を認める条件として、裁判と関連する証拠に基づく事実に内容を限定することなどを挙げていた。その上で、新たな証拠の提示や本人による「証言」、選挙演説など裁判と無関係の発言を禁止するとした。判事や裁判所職員、原告、ニューヨーク州の裁判制度に対する非難も、本件と無関係のため口にしてはならないと述べていた。
トランプ氏と弁護士チームは、これまで本人の出廷を利用してバイデン大統領が選挙に介入していると主張。自身に対する訴訟を政治的迫害と表現してきた。これには大統領選で共和党からの指名獲得を争うライバルたちからメディアの注目をそらす狙いもあったとみられる。
今回の訴訟でトランプ氏は刑事責任を問われてはいないが、ジェームズ司法長官はトランプ氏に対し3億7000万ドル(約540億円)の支払いや州内での事業禁止を求めている。
トランプ氏は11週に及ぶ裁判を通じてエンゴロン判事と再三衝突。公判の最初の週には、裁判所職員に関するソーシャルメディアへの投稿が原因で判事から箝口(かんこう)令を言い渡されてもいた。
一方、エンゴロン氏はメディア企業が共同で提出した最終弁論のテレビ中継の要請を拒否した。メディア報道や透明性の重要性を十分認識しつつ、この裁判については極めて深刻な安全上の問題があることを理由に挙げた。
それでも各メディアは、最終弁論が始まる前にトランプ氏と弁護士らの映像、画像を撮影することができる。トランプ氏がしばしばメディア対応を行う裁判所の廊下にも立ち入りが認められている。