クロクマの肉に寄生虫、食べた一家が入院 米CDCが注意喚起

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米疾病対策センター(CDC)は、クマの肉は内部まで完全に火を通すよう勧告している/Division of Parasitic Diseases and Malaria, Center for Global Health, CDC

米疾病対策センター(CDC)は、クマの肉は内部まで完全に火を通すよう勧告している/Division of Parasitic Diseases and Malaria, Center for Global Health, CDC

(CNN) 野生のクマの肉を食べた一家が寄生虫に感染して入院した事例について、米疾病対策センター(CDC)が最新の症例報告で明らかにした。一家は祝い事のため米各地からサウスダコタ州に集まって食事していた。

集まった家族や親類の中にハンターがいて、2022年3月にカナダのサスカチュワン州で仕留めたクロクマの肉を持参していた。肉は専門店のアドバイスに従って、寄生虫駆除のために45日間冷凍した後に解凍し、野菜と一緒にグリルで焼いて食べたという。

国際獣疫事務局(WOAH)によると、クロクマの寄生虫は冷凍で死ぬ種類と、死なない種類がある。

クマやイノシシ、オオカミ、リスなどの野生動物には旋毛虫が寄生していることがある。見た目は健康そうに見えることも多く、肉にも寄生虫の兆候がほとんど表れないことから見分けるのは難しい。

肉には内部まで完全に火を通すようCDCは勧告しており、スモークや塩漬け、乾燥、電子レンジ調理で寄生虫が死ぬとは限らないと専門家は指摘する。

サウスダコタ州の一家は最初、生のクマ肉を食べていた。肉が黒っぽい色をしていたことから焼き具合が分からず、火が通っていないことに家族が気付いてグリルに戻し、焼き直して食べたという。

症状が表れたのはそれぞれが帰宅した後だった。

最初に発症した29歳の男性は、3週間で2回入院。激しい筋肉の痛みや発熱、目の腫れなどの症状を繰り返し、検査の結果、アレルギーやがん、寄生虫の兆候とされる好酸球増多症と診断された。

2回目の入院で男性がクマの肉を食べていたことが分かり、検査で旋毛虫症と確認されたことから、一緒にいた家族にも検査が勧められた。

旋毛虫症の症状は、寄生虫が体内のどこに移動するかによって異なる。CDCによると、軽症の場合は症状に気付かないこともあるが、寄生虫が消化器官に入ると腹痛や下痢、嘔吐(おうと)を引き起こし、筋肉に入れば発熱、発疹、結膜炎、顔のむくみなどの症状が表れる。心臓疾患や中枢神経の症状、呼吸障害など、生命を脅かす症状が出ることもある。

調査員が事情を聴いたところ、8人のうち6人に、旋毛虫症の症状があることが判明。うち4人はクマ肉を食べていたが、残る2人はクマ肉と一緒に調理した野菜しか食べていなかった。

3人は入院を強いられ、抗寄生虫薬などの治療を受けた。入院しなかった3人は、寄生虫感染が判明する前に症状が収まったため、補助的療法のみ受けた。その後、全員が回復している。

CDCが調査の過程で冷凍したクマ肉を入手して調べた結果、旋毛虫の幼虫が見つかったため、残ったクマ肉は廃棄するようハンターに勧告した。CDCはクマが仕留められたカナダの公衆衛生当局にも情報を提供した。

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