ハマス指導者、交渉で「優位な立場」と認識か 米分析
(CNN) イスラエルとイスラム組織ハマスとの戦いをめぐり、ハマスのパレスチナ自治区ガザ地区のトップ、ヤヒヤ・シンワル氏が、イスラエルによるハマス撲滅の試みから生き残ることができ、人質解放や停戦に関する交渉でも強い立場から臨めると考えていることがわかった。最近の情勢分析に詳しい米当局者が明らかにした。シンワル氏は、停戦交渉をめぐる決断でハマス側のカギを握る人物だと考えられている。
情報筋によれば、ハマスの目標は生き残ることであり、それがハマスにとっての勝利だという。シンワル氏はハマスがイスラエルとの戦いに耐えられると考えている可能性が高い。ガザでの戦闘が続くなか、多くの民間人が死亡し、イスラエルの国際社会での立場は悪化している。
バイデン政権高官は率直に「シンワル氏は自分が勝っていると信じている」と語った。
こうした分析は、ハマスとイスラエルとの停戦交渉を後押ししている米国を落胆させるものだ。米国のブリンケン国務長官は11日午前、イスラエル・テルアビブで、ハマスに拘束されている米国人の人質の家族に対して、停戦をめぐる最新の提案の運命はシンワル氏にかかっていると語っていた。
米国はハマスに影響力を持つ人たちに圧力をかけて提案を受け入れるよう働きかけているが、ブリンケン氏は、最終的な決定権を握るのはシンワル氏だとの見方を示している。
もし、シンワル氏がイスラエルの侵攻にも耐えることができると考えているのならば、パレスチナの民間人に犠牲が出続けているにもかかわらず、戦闘を終結させるための合意に達しなければならないという圧力を十分には感じていないことを意味する。
米紙ウォールストリート・ジャーナルの報道によれば、シンワル氏は民間人の死者について「必要な犠牲」と呼んだという。
シンワル氏は昨年10月のハマスによる奇襲の首謀者の一人。当局者によれば、シンワル氏はガザの地下に掘られた広大なトンネル網で逃走を続けているとみられており、人間の盾として人質に囲まれている可能性がある。